ミラー! (573)特別に… | 超自己満足的自己表現

ミラー! (573)特別に…

 そろそろ17時になろうとしている時、携帯がなる。もちろん相手は美里。幹部室から出て、電話に出る。


「今ね、西門。早く取りにきてね。車長く停める事ができないから。」


あ、そうか・・・僕の車で来てるんだよね。僕は幹部室の隊長に許しを得て、早めに幹部室を出る。もちろんその前に、門衛に連絡をして、少しでも車を止めても言いかと伝えておく。


「あ、遠藤君。もしよければ、彼女に会わせてもらえないかな。」


と隊長。紹介しないとね。僕の上司だし・・・。談話室へ連れてくるように言われる。はあ・・・。僕は、衛生隊の建物から少し離れた西門へ急ぐ。一応僕の車は、なんどき乗り入れるかわからないので、車両登録は済ませてある。乗り入れることは可能なのだ。確か車に許可書を入れておいたはず・・・。僕は西門前に停めてある美里が乗った車へ急ぐ。


「春希さん?」
「隊長がね、君に会いたいらしいから、来て。ちょっと車移動させるから。」


といって許可書を持って、詰め所へ。事情を説明して、入門許可を得る。美里と僕は運転を交代。指示された駐車場へ車を停めて、隊長の待つ談話室へ。噂を聞いたのか、仕事を終えた隊員たちがちらほら・・・。


「隊長、こちらが僕の婚約者の、立原美里さんです。ご存知の通り、女優の立花真里菜です。」


ニコニコ顔の隊長。実は美里のファンなのだ。それは知っている。美里と隊長は握手して、椅子に座って雑談。僕は二人にコーヒーを入れる。きっと隊長は婚約者の彼女と会いたいんじゃなくて、女優立花真里菜とあって話がしたかったんだろうね・・・。ホント二人で長々と話している。


「隊長、今日は早く帰らないといけないんじゃなかったんですか?奥様のお誕生日なんですよね?」


隊長ははっとした様子で、立ち上がった。


「そ、そうだった。ありがとう遠藤君。君はここで彼女と夕飯食べたらいいよ。せっかくお弁当を持参してきてもらえたんだろ?ゆっくりしなさい。立花さん、今日は楽しかったです。またいつでもおいでください。」


といって隊長は嬉しそうに部屋を出て行った。


 談話室の机に、美里が作った夕飯を並べる。いつものメニュー。ビーフシチューにほんのりガーリックライス。サラダに、デザート・・・。温かいお茶まで入れてくれる美里。


「いただきます!」


と僕は手を合わせいただく。


「おいしい?」
「うん。むちゃくちゃおいしいよ。」
「制服にシチューをつけないようにね。いつもちょっとだけついてたりするでしょ?言うも春希さんは急いで食べてお替りするから。」
「だって、美里のシチューがむちゃくちゃおいしいから。」
「家にたくさん作ったし、冷凍しておくから、また解凍して食べてね。」


ホント嬉しい。もっと食べたいけど、ここは仕事場。当直明けの明日、思う存分食べるんだ。