ミラー! (543)付き合う上で… | 超自己満足的自己表現

ミラー! (543)付き合う上で…

 仕事を終え、自宅へ戻る。自宅には彼女がまだいた。


「未来を預けっぱなしでいいの?」


と、僕は彼女に確認をする。


「うん・・・。大丈夫。実家へ預けてきた。」


と、彼女はいった。


「実は家に帰れないの。ずっとマスコミが家の近くにいて・・・あの記事が出てから、未来を実家に預けたままなの。私も自宅へ戻ってない。何とかここへ来たって感じで・・・。」
「で、公にする件はどうなったの?」
「もちろん今日事務所に電話をしたわ。とりあえず、マスコミ関係にFAXを流してくれるみたい。私のことはいいけれど、春希さんのことが心配で・・・。お仕事に支障が出ないかしら・・・。」


まあ僕らの関係を知っているマスコミ関係者がいるのを知っている。そこから流れてって事もある。僕の部下たちの中にも知っているものがいるわけだし・・・。どこから情報が流れるかわからない。


「とりあえず、落ち着くまで、ここにいたらいい。東京にいるよりはましだと思うし・・・。買い物とか欲しいものがあったら僕に電話して。僕が帰りに買ってくるから。」
「うん、そうする。ごめんね春希さん。」


そういって彼女は僕に体を預ける。こういうことは、芸能人と付き合う上で覚悟してきた事。妹も僕も兄も、元々彼女と同じ世界にいたから、大丈夫だと思っていた。でも違う。彼女は第一線の女優。それも最近とても期待されている。なのに僕や家族のために彼女はその世界をやめようとしている。僕はため息をつきながら、彼女を抱きしめた。


「あのね・・・この騒ぎで、やっとつかんだ仕事を断られるかもしれない・・・。」


と彼女は話し出した。


「仕事?どんな?」
「モデル。私の夢だったブランドのモデルのお仕事が決まってたの。いろいろ条件つけられたけれど、あのブランドのモデルにずっとなりたかった。あのブランドのモデルになれたら、一流だもの・・・。」
「どのブランド・・・?」
「あなたのお父さんが経営しているラ・マキシマ・リュヌ。」


マキシマか・・・。マキシマはなかなかモデルを採用しない。ハードルが高いらしい。他のリュヌなら、いろいろモデルを使っているけれどね・・・。


「クリスマスイブに行われるパーティーのショー、そして2月のウエデイングコレクション・・・。いろいろ条件がある・・・。」
「条件?」
「立花真里菜のキャラを取り去る事。あなたのお父さんと面談して突きつけられた条件の一つが・・・。立花真里菜ではなく、私本来の姿・・・。立原美里のナチュラルさが欲しいといわれて・・・。」
「うん。来年のテーマはナチュラルだからね・・・。父さんは美里とこの前あった時に、素の美里を見てきっとこれだと思ったんだろうね・・・。あのブランドは、イメージを大切にするから、今回の事でイメージが壊れたと思っているの?」


彼女は頷く。そうだよね。父さんは彼女と僕が婚約している事を知っているのにこの騒動。イメージが違うとなると、やはり即契約打ち切りなんだろう。父さんにはその権限が大いにある。とりあえず、様子を見ることにした。FAXによる発表のあとで・・・。だって父さんから確認の電話とかもかかってこないしね・・・。様子を見るしかないよね。