ミラー! (333)松島ラブストーリー 2
松島航空祭へ向けての決起集会というか・・・。飲み会に参加する俺。ブルーのチームだけではなく、広報担当やらいろんな人が多数集まる。5番機指導員で、俺の先輩、通称マッキーこと、東城誠三佐。集合時間が過ぎているのに遅い。いつもなら真っ先に来ているのにさ。乾杯が始まっても来ない先輩。心配になって俺は先輩に電話を掛けてみた。
「もうちょっと。始めてくれていたらいいから・・・。」
という先輩。もちろんもう始まっているわけで・・・。生中2杯目の頃にやってくる先輩。
「ごめん、ごめん。連れを待っていたら遅れてしまってさ。」
連れ?他の先輩たちはもう知っているかというような口ぶりでやんややんや言っている。なんか一人だけ阻害されているような感覚。
「お!マッキーの噂の美人従妹の登場だ!」
って広報担当の人が言う。美人従妹ねえ・・・。先輩の従妹・・・?まさか・・・。俺は顔を上げるとまさしくそこに立っていたのは例の見合い相手で・・・。
「始めまして!崎本真美です!いつも従兄がお世話になっています。すみません。会社の残業で・・・。」
「まあいいじゃん、いいじゃん」と、周りは言い、彼女は空いた席へ座る。もちろん彼女は俺をじろじろ見てくるわけで・・・うまい酒がまずくなる。でも途中退場は出来ないよな・・・新人だし・・・。俺の横に座っている広報班長(女性)がこの俺にいろいろ突っ込んでくる。
「ブルーパイロットで結婚していないのはマサだけだよね。いい年して。」
「だからなんですか?結婚したくないからしないんです、できないんじゃなくて・・・。」
「マッキーの従妹、すごく綺麗よね。いろいろ噂を聞いていたけど、予想以上じゃん。どう?マサ。」
「何がですか?」
「彼女にしてあげたら?お似合いだと思うけどなあ・・・。美男美女で・・・。」
「タイプじゃないっす。というか、あんな自衛隊マニアな子いりませんって。」
「え?彼女そうなの?見えないけど・・・。どうして知っているの?怪しい・・・。」
「実は元見合い相手ですから・・・。統幕長からの。俺の追っかけしてたみたいやし。」
「それならいいじゃん。ちゃんとマサのことわかっているんだし。」
というと広報班長は立ち上がって、元見合い相手に俺の横を勧める。彼女は始め遠慮していたけど、なんとなく事情を知っているであろう先輩たちは「行け行け」と勧める。もちろん彼女は俺の横へ。反対側にはマッキー先輩で・・挟まれたから逃げ出せない。
「お久しぶりです、源さん。」
「そうだよ、マサ。親父から聞いたけど、真美を振ったんだって?真美ったらさあ、ショックで今まで基地見学さえ来なかったんだよなあ。平日休みのときは松島へ遊びに来いって何度も誘ったのにさあ。行かない行かないって。やっと今日来てくれることになってさ。」
はいそうですか・・・。余計に酒がまずくなった。
「なあマサ。別に構わないよな、真美が基地見学に来ても。真美はT4ブルーが一番好きなんだよな。F15も好きだけど・・・。いいよな?マサ!」
といって俺の肩を強くたたく。嫌だとはいえんやろ。この場でさ。
もちろんこの日から彼女が平日休みの日、しつこいように基地見学にやってくる。それもこの俺が訓練中のときを狙って・・・。情報は先輩から流れるわけで・・・。先輩は俺と彼女をくっつけようとしているのだろうな。先輩だけじゃない。周りのみんな・・・広報までもさ・・・。