ミラー! (332)松島ラブストーリー 1 | 超自己満足的自己表現

ミラー! (332)松島ラブストーリー 1

 航空自衛隊第4航空団第11飛行隊、いわゆるブルーインパルスへ転属して4ヶ月。俺源雅治、通称「マサ」は新人ブルーパイロット2人のうちの一人として毎日訓練をこなしている。今年度いっぱいでブルーを抜ける先輩「マッキー」こと東城誠三佐に技を仕込まれる。俺の担当は5番機。背面飛行が多いので有名だ。航空祭シーズンに突入し、様々な基地やイベント会場へ出向いている。はじめ違和感があったブルーのフライトスーツも板に付く。


 東城先輩は無茶苦茶尊敬できる先輩。昔から憧れだった。防大の先輩であり、一時、同じ部隊F15パイロットとして過ごしたことがある。東城先輩が俺をこの飛行隊に推薦してくれたようなもの。実は東城先輩は統合幕僚長の長男。未来の航空幕僚長といわれている。もちろん、防大時代から知っているし、すべてトップを貫いていた憧れの先輩。ま、俺もそうだけどね。


 航空祭ではブルーファンとのふれあいコーナーがある。もちろん俺も参加するわけで・・・。下っ端の俺はいつものナレーション担当。ベテランの先輩へファンが並ぶのはわかる。特に隊長などはすごい列が出来る。そしてサイン攻め。一番下っ端の俺は普通、励まし程度の列だと思っていたんだけど、隊長の次にすごい列だったりする。それも若い女性ばかりで・・・。みんな「源さん、源さん」といって、サインや握手、写真攻め。先輩達が驚くほど・・・。でもこの飛行隊へ来て、例の元見合い相手は見かけない。いつも俺の参加する航空祭には来ているといっていたはずで・・・。やっと諦めてくれたか。うっとうしい女だったからいいか。


「マジ、マサはブルー始まって以来の超イケメンだからなあ・・・。F15の時からファンが相当いるって言う噂は本当だったか・・・。」


と、先輩たちはいつも打ち上げの飲み会で言われる。


「でもどうしてそんなマサに、彼女さえいないわけ?」
「ほんとほんと!」


いつもそればっかで・・・。ちょっとうんざり。


「確かお父上は、陸将だったよな?次期陸幕長の最有力。」


そうかもしれんけど・・・。俺には関係ない。
陸一筋の源家の異色の空自隊員の俺。ま、弟は海自だけど・・・。パイロットになりたいと言った時は陸自のヘリだと勘違いされてたなあ・・・。マジで空自のパイロットになったときの親父の顔は今でも忘れんけど。結構驚いていた。ま、親父は普通科連隊一筋、富士学校の教官とかしていたしなあ・・・。弟なんかもっと笑える。俺が空自で、雅美が陸自、じゃあ俺は海自へ行くかって気軽な考えでなった海自要員。でも海自に入って結構はまっている。


あ、親父の話に戻るけど、春の見合いを断ってから、「結婚、結婚」といわなくなった。これでゆっくり仕事に専念できる。ま、家庭を持つってそれなりに責任が伴うし、こんな危険な仕事していたらなあ・・・。別に憧れがないわけじゃないけれど、俺に近づく女がウザイ。ただそれだけ。ああ、雅美が妹じゃなかったらねえ・・・。つくづく思うよ。