ミラー! (324)大好きな人は自衛官♪ | 超自己満足的自己表現

ミラー! (324)大好きな人は自衛官♪

 私が一目ぼれした富田啓太さん。お兄ちゃんと同じ年だけど、お兄ちゃんの部下なの。超イケメンで、看護師の資格を持っている。その上制服姿がたまらなくかっこいいのよね。もちろん私服も素敵に着こなすお洒落さん。


 今日は啓太さんに内緒でお兄ちゃんの職場で行われる納涼祭っていう盆踊りにやってきた。お兄ちゃんの部隊の人たちが踊っているのを見て、啓太さんを探した。いたいた!今日は迷彩服なのね。迷彩服に部隊キャップをかぶって・・・。やはり啓太さんは一番素敵なのよね。


「富田君に会いたいんだろ?さ、こっちおいで。」


とお兄ちゃんがこの私の手を引いて、踊り終えた隊員たちが退場する位置まで連れて行ってくれたの。途中、お兄ちゃんの職場の人にいろいろ声をかけられたけど、眼中にはないわ。私が好きなのは啓太さんで・・・。あ、でも啓太さんとはお友達。きっと啓太さんは私なんて眼中にないと思うの。だって元彼女はグラビアアイドルだって言うし・・・私はあんなに胸は大きくないし性格だって女らしくない。いいんだもん・・・。



今日この日のためにすごく綺麗な浴衣の生地を見つけて浴衣を新調したの。そしてお兄ちゃんの奥さん、優奈ちゃんにすごく素敵に着付けてもらった。髪型もお化粧も気合を入れる。あ、いつものCAメイクじゃないよ。あくまでもナチュラルに・・・。啓太さんは驚くかしら・・・それとも・・・。


「ほら終わって、僕の部下たちがこっち来たぞ。」


とお兄ちゃんが部下たちに手を振る。お兄ちゃんは部下たちをねぎらうためにたくさんのジュースが入った箱を持っている。そして一人一人に配っていったの。私はその中からひとつとって、最後にやってきた啓太さんにそっと渡す。


「お疲れ様、啓太さん。」
「え?」


少し俯き加減の啓太さんは驚いた表情で私からジュースを受け取ると、固まっている。そしてツカツカとお兄ちゃんの前へ・・・。


「二尉!この俺を騙してたんですね!は、陽菜さん・・・。ここにいるじゃないですか!!!」
「あ、ごめんごめん・・・陽菜が黙っていてって言うもんだからさあ・・・。騙すつもりはないよ。さ、僕は家族サービス、家族サービス・・・・。」


といってお兄ちゃんはこの私を啓太さんの前へ押し出して逃げていったの。啓太さんと私は見つめあったままで沈黙。周りの啓太さんの部下たちは囃し立てる。


「富田一曹!彼女いたんじゃないっすか!彼女欲しい欲しいって毎晩のように俺に・・・。」
「うるさい!違う!友達だよ、友達!今のところはねえ・・・・。」


といって啓太さんは真っ赤な顔をして俯く。そうよね・・・ただの友達よね・・・。私はただの啓太さんの上司の妹で・・・。きっと義理で付き合ってくれてたんだよね・・・。なんとも思っていないのよね?


「ごめんなさい・・・啓太さん。迷惑よね・・・?」
「え?何?」


盆踊りの音楽でよく聞こえなかったみたいで、啓太さんが聞きなおすんだけど・・・。不意に涙が出てきて・・・。


「もういいです・・・帰ります!」


と私はその場を離れようとすると、啓太さんが私の手を握って啓太さんの部下集団の中から私を連れ出した。


「啓太さん?」
「いいからちょっと来て。」


ぐいぐいと引っ張って行く啓太さん。どこへ連れて行くつもり?