縁 (57)どこ? | 超自己満足的自己表現

縁 (57)どこ?

 本当に孝志君はどこへ行ってしまったんだろう。おじいちゃんに遠藤家の出身地を聞いたの。石川県らしいけれど、孝志君のお爺様は、未だに党へ通っているというから、きっと都内に住んでいるんだろうと、お爺ちゃんはいっていた。そして孝志君の居所を聞いてくれるって・・・。あ、お姉ちゃんにも聞かなきゃ。同じ芸能事務所だもんね。いつものように夜お姉ちゃんに聞いてみた。


「孝志君って事務所に来てる?」
「え?孝志君?実はね、突然やめちゃったのよ・・・・。2月中旬にお爺様が現れてね、社長に学業に専念するからって・・・。契約不履行というのであれば、訴えてくださっても構いませんっていってね・・・。社長はもともと孝志君の学業優先を知っているから、何もいえなかったらしいんだけどね・・・。」
「辞めちゃったの???そんなあ・・・孝志君の行方がわからないの・・・。いないのよ・・・どこにも・・・。携帯もつながらないし・・・。」
「優希、嫌われたんじゃないの?いつももじもじしてるでしょ。最後に会った日に何かおかしいことなかったの?」


そういやあった。絶対甘いものを食べなかった孝志君が、得意なお菓子を食べたいって・・・。おかしいと思ったの。嫌な顔ひとつしないでペロッと食べてしまって、満面の笑みでおいしいって・・・。なんとなくだけど悲しげな感じがあって、気にはしていたんだけどね・・・。


 数日後、お爺ちゃんから孝志君の行方を聞いたけど、やはり孝志君のおじいちゃんは教えてくれなかったって言うの。なんとなくごまかされたって感じで・・・・。しょうがない。終業式の日に来るかもしれないっていうから、行って見るしかないかな・・・。



孝志君に会って、本当のことを聞きたいんだもん。私のこと嫌いになった?どうしてこんなことするの?って・・・。もしかしてパパの差し金かな・・・・。誕生日、パパと孝志君はなにやら真剣そうな話をしていた。ちょっと気になっていたんだけど・・・。そのあと孝志君の表情は少し暗かった。きっとパパが別れなさいっていったんだ。パパは孝志君が気に入らないんだ。パパのことだからきっとそうに決まってる。お姉ちゃんの時のように・・・。