縁 (50)優希の彼氏
と優希から電話があった。この前僕が母さんに優希を紹介したから?
「そうだ、私の誕生日1月11日でしょ?お兄ちゃんと一緒にパーティーすることになっているから、来てね。その時、パパもママもみんないるから、孝志君を紹介してもいいかなあ?」
「んん・・・わかった・・・。」
僕は優希と約束をしてしまった。そうだ、優希はもしかしたら妹かもしれないんだった・・・。でも優希のご両親、特にお父さんに会えるんだよね。もしかしたら僕の実の父かもしれない人に・・・。
優希の誕生日、夕方から行われる優希の誕生日パーティーへ向かう。見送る母さんは複雑な顔をしている。そりゃそうだよね。僕の父さんかもしれない人のうちに行くんだから・・・。僕は優希に渡すプレゼントを持ち、優希のマンションへ。
「優希、今マンションの前にいるんだけど・・・。」
と僕は優希の携帯に電話をかける。玄関ロビーまで迎えに来てくれるらしい。ちょっとすると急いで降りてくる優希の姿。優希は僕の胸に飛び込んで満面の笑みで見つめる。優希は素敵なワンピースを着ている。そして指には僕があげた指輪・・・。きちんと左薬指に。
「孝志君、会いたかったよ・・・。ずっと朝しか会えなかったでしょ?こうしてゆっくり会えるなんて・・・。うれしいな・・・。」
「んん・・・。」
本当に複雑・・・。大好きな優希が実は妹かもしれないってことが・・・。
「今日はね、大阪のおじいちゃん達も来ているし、お友達もたくさん来ているの。丁度いいでしょ?この前孝志君にプロポーズされちゃったし。ね?」
え!源家も来ているって?この前会ってきたのに・・・。
「パパも、ママも、孝志君に会うの楽しみにしているんだよ。私の大好きな人だもん。きちんと紹介しなきゃ。優希の将来を誓い合った人だって。」
「んん・・・。」
僕は優希に手を引かれて、初めて優希の自宅へ入る。優希のお爺ちゃんの家ならあるけどさ・・・。玄関にはたくさんの靴。そしてついにリビングへ。ハア・・・緊張。この緊張には色々原因がある。どうしよう・・・・。優希は僕を前に出して紹介する。
「パパ、ママ、お爺ちゃんたち、紹介するね。この人が、優希の大好きな彼、遠藤孝志君です!」
みんなが僕の顔を見る。
「孝志君のお父様は国会議員の遠藤芳樹議員だよ。お爺ちゃん知ってるよね?遠藤春樹元議員。その人のお孫さんなんだよ。」
僕は苦笑して一応挨拶。
「はじめまして、遠藤孝志です。」
やはり先日会った源さんもきていて僕の顔を見る。その驚きの表情といったら・・・。優希のお父さんは平然とした顔・・・。どうしてだろ・・・。忘れているんだろうか・・・。
優希と優希の双子の兄の誕生会和やかな雰囲気で、立食形式のお食事会。総勢15人。僕は複雑な気持ちで楽しそうに話している優希の顔を見つめていた。優希の彼氏として紹介されてよかったんだろうか・・・。もし優希が僕の妹だったら、別れが待っているんだよね・・・。決して一緒にはなれないんだ。なってはいけないんだ。