縁 (44)うち来る?
「うちくる?」
と孝志君が私に声をかける。そういえば孝志君の家って知らない。行った事ない。大体の場所は知っていてもはっきりは知らないんだ。
「うん・・・そうだね・・・。」
孝志君は、私の手を引いて白金の孝志君の住むマンションへ。やはり白金という住宅街らしい立派なマンション。それも結構新しい。大きいわりには戸数が少ないらしく、部屋の大きさは最低でも150㎡らしい。孝志君のおうちは4LDK。そこにご両親とお爺様が住んでいるらしい。初めておうちに上がるんだもの・・・。ドキドキで、途中お土産として広尾のおいしいお店のケーキを持参。孝志君は食べなくても、お母様やお爺様たちが食べるよね。
「さあ上がって・・・。」
玄関だけでも何畳あるの?っていうくらい大きな玄関。床は大理石張り。はじめリビングに通されたんだけど、家の人は留守みたい。孝志君にケーキの入った箱を渡し、孝志君はおっきな冷蔵庫に入れた。LDKでも30畳くらいあるのかなあ・・・。結構でかい。うちの家は100平米ちょっとだから相当大きいよね。
「はあ・・・お爺ちゃんは急に入った党の夕食会で帰りが遅くて、母さんは買い物か・・・夕方まで帰らないって・・・。せっかく優希ちゃんを紹介しようと思ったのになあ・・・。まあいっか・・・。部屋においでよ。ゆっくりしよう。優希ちゃんに渡したいものがあるしね。」
といって孝志君は私の手を引いて部屋を案内してくれた。孝志君の部屋も結構広い。10畳くらいある?これでも一番狭い部屋らしい。勉強机にベッド・・・。そしてコタツ。テレビに小さな冷蔵庫。ここで生活できるくらい充実。さすが国会議員の一人息子ねえ。きちんとシックな色に統一されて、男の子らしい部屋。
「もともと高輪台に住んでいたんだけどね、今年の春さ、学校に近いここに引っ越してきたんだ。ここなら自転車でいけるし・・・。あ、お茶・・・。ペットボトルのままじゃだめだよね。コップとって来るよ。」
そういうと孝志君は部屋を出て行く。勉強机の本棚にはやはり参考書類やら・・・。雑誌もちらほら。こういうところは私のお兄ちゃんと変わんないかなあ・・・。
「優希ちゃんコタツに入ったら?寒いだろ?今からエアコン入れるよ。」
と、孝志君が入ってきた。コップのほかにスナック菓子。コタツの中央にお盆ごと置いて、小さな一人用の冷蔵庫からウーロン茶を取り出す。そしてコップに注いでいった。
ハア・・・また二人っきり・・・。
実は今日、覚悟して来た。なにをって?それはあれよあれ。この前の夏、直前になって孝志君をひっぱたいてしまったのよねえ・・・。今日もし求められてきたら、受け入れようって覚悟してきたわけ。そのために今日は勝負下着って言うのかなあ・・・。可愛い上下の新しい下着を身に着けてきた。色々お友達に聞いて準備万端。はじめは痛いよっていろんなお友達に言われたし・・・・。月のものの予定日も3日後くらいだから、間違っても出来ないと思うのよ。
私、孝志君が大好きだもん・・・。もちろん色々考えて決めたの。