縁 (33)エキストラ | 超自己満足的自己表現

縁 (33)エキストラ

 やっぱり私、孝志君とやり直したい!そう思って数日間考えて、思い切ってメールを入れたの。


『孝志君。今までごめんなさい。会いたいよ・・・。優希』


でも返事が返ってこなかったのよね・・・。はあって思ってまたお姉ちゃんに相談。お姉ちゃんはあっけらかんとした表情で言うの。


「今孝志君は日本に居ないよ。」
「え?」
「修学旅行で韓国にいるんだよ。週末帰ってくるから。でも週末はCMの撮影に入るからね。会えるかなあ・・・。平日でも夜は塾に行っているみたいだし、塾のない日も撮影が入ってたりするからね・・・。会えないかもね。今結構うちの会社で売込み中でね、オファーもたくさん来ているらしいから・・・。」
「そんなあ・・・。」
「じゃあ、今度の航空会社の撮影、観に来る?何とか関係者に言っておくから。」


もちろん私は行く!って・・・。撮影は一部羽田空港で行われるらしい。J社の搭乗口近くで・・・。一番お客様が少ない時間帯にするんだって。本当に楽しみで・・・。


 当日、孝志君と別の車で羽田空港入り。関係者用の札をもらってお姉ちゃんとともに控え室へ・・・。


「おはようございます。今日は妹が見学したいって言うので連れてきました。」


スタッフの人たちはお姉ちゃんに似ている私を見てオオっていう。初めてなんだよね、身内を見せるのって・・・。


「美咲ちゃ~~~ん。妹いたんだあ~~~。よく似てるね。」
「高校生???かわいいじゃん。」


私は照れちゃったの。一斉に言われるなんて初めてで・・・。


「はじめまして・・・。仁科美咲の妹の優希です・・・。」
「優希ちゃんって言うのか!」


お姉ちゃんは苦笑しながら、衣装を触っている。すると制作会社の人が入ってくる。


「エキストラが一人足りないんだ。ドタキャンされて・・・。至急用意して欲しいんだけど・・・。」


縁33 するとみんな一斉に私の方を見る。そして私は制作会社の人に連れ出されて制服を手渡される。


「悪い!地上職員のエキストラやってほしいんだ。ただカウンターで立っているだけでいいからさ。」
「でも・・・私・・・一般人です・・・。」
「君みたいな可愛いスタイルいい子、他にいないから頼む!」


しょうがない・・・ちょこっとしか写らないんだからいいかなんて思って承諾。制服を持ってお姉ちゃんの控え室へ・・・。もちろんお姉ちゃんは準備をしながら苦笑・・・。スタイリストさんに色々教えてもらいながら衣装に袖を通す。計ったようにぴったりの制服・・・。でも遠目で孝志君を見ることが出来ると思えばいいかな・・・。