縁 (29)元彼・今彼
私には関西に彼氏がいる。初めて付き合った人は気まずいことがあって別れたまま・・・。そしていくら電話してもメールをしても返事がなかった。きっと嫌われたんだって思ってそのままにしていたの。まあ後からおねえちゃんから事情を聞いて、そうだったの?って思ったんだけど・・・。でももう遅い。
お盆に行われたお爺ちゃんの後援会パーティーで出会った男性とお付き合いをしている。私よりも5歳年上の20歳。お爺ちゃんの実家、兵庫県芦屋市六麓荘の超高級住宅街に住み、関学大に通う某家電メーカーの御曹司。お爺ちゃん同士が幼馴染で、お爺ちゃんの後援会会長を彼のお父さんがしている。パーティーで声をかけられて意気投合。お付き合いすることになった。丁度傷心中だったし・・・。両方の家族公認。それが前の彼氏と違うところかな・・・。月に2回週末に東京へやってきてデート。手をつないで映画を見たり、食事したりまあ楽しいかな。でもちょっと思っていたのとは違う。
「優希、今の彼氏、ちょっとタイプ違うよね。なんていうのかなあ・・・軽そう。結構遊んでそうね。ま、かっこいい部類だけど、前の彼氏とずいぶん違うね。」
っておねえちゃんが毎晩顔を合わすたびに言ってくる。わかっているわよ。まじめそうな孝志君と違って遊んでいる感じはある。まあいうプレイボーイタイプかな・・・。
「優希、ああいうタイプはやめておいたほうがいいかもね。友達として遊ぶ分にはいいかもしれないけどさ・・・。あ、そうそう、孝志君、モデルの仕事するんだよ。これでさらにやり直しが効かなくなるね、優希。」
「やり直す?なんで?」
「孝志君は未だに優希のこと忘れてないんだよ。優希だって孝志君のことまだ・・・。」
「そんなことないもん。あんなかっこよくて優しいだけの男・・・。」
もちろん私は自分の気持ちに嘘をついている。今の彼は成り行きで付き合っているのはお姉ちゃんにお見通し?お姉ちゃんはとんでもないことを言い出すの。
「じゃ、優希、孝志君もらっていい?3歳年下だけど、大人っぽいし、これから一緒に仕事するしねえ・・・。」
お姉ちゃんはニヤッと笑って自分のベッドへ潜り込んだ。孝志君はもともとお姉ちゃんのファンみたいだったし。ああ、そんな言葉を聞いちゃったから、夢の中でお姉ちゃんと孝志君がイチャイチャしているところの夢を見ちゃったよ。ただのイチャイチャじゃなくて・・・私って欲求不満?っていうような・・・。朝私は真っ赤な顔をして目覚めてしまった。