縁 (22)発覚
夕方急いでおじいちゃんと母さんがやってきて面会する。ちょっと期待してたけれど、父さんはやはり来なかった。
「母さん、どうして父さんが来ないの?一人息子がこんな目に遭っているのに・・・。」
お爺ちゃんと母さんは向かい合って苦笑していた。
「どうしても抜けられない事情があるのよ。だから孝志、ゆっくり休みなさい。孝志が退院するまでママはおばあちゃんの家にいるからね・・・。」
「んん・・・。」
ここは集中治療室だから、二人は看護師さんに声をかけられて出て行った。一応面会謝絶。輸血が終わるまでここを出ることが出来ないらしい。そういや僕の血液型って?検査していないから知らないんだった。ふと輸血パックの血液型を見てみる。
『A Rh+』
ああ、僕ってA型なんだ・・・。そっか・・・A型か・・・・。
でも僕はあることに気がつく。僕がA型だなんてどういうことだろ・・・。母さんはO型だろ?父さんは確かB型。その二人の子だから僕はOかBのはず・・・。お爺ちゃんもお婆ちゃんもO型だし・・・・。父さんの家系にAはいない。ということは僕って・・・。
父さんの子じゃない!だから父さんは実の子じゃないから、病院へ来なかったんだ!じゃあ僕って誰の子だよ!確かに母さんは実の母さんなんだろうけれど、父さんは誰なんだろう!
一般病棟の個室へ移ってきてからも、何日も何日もそのことが頭をよぎって、何度も何度も顔を出しに来る母さんに問いただそうとするんだけど、言えない。だって今まで母さんは父さんにひどいことをされてきた。これ以上母さんに聞いて、苦しめたくないと思ったから・・・。自分で真実を知ろうと思った。本当のお父さんって誰なのか・・・。