縁 (16)二人きり・・・ | 超自己満足的自己表現

縁 (16)二人きり・・・

 もくもくと勉強する僕たち。時折、わからないと優希ちゃんが横にやってきて一緒に解く。


「さすが、超進学校ね。簡単に解けるなんて・・・。」
「難しくないよこれくらい。これぐらい解けなくてどうするの?1年生は基本だよ。」
「もう!私は孝志君と違って馬鹿だもん。早実小はまぐれだったし・・・。慶応中には落ちたし・・・。」
「そんなことないよ。やれば出来ると思うんだけど?」
「そうかなあ・・・。」


苦笑する優希ちゃんを見て僕も苦笑。飲み込み早いほうだと思うんだけど・・・。そしてふと優希ちゃんの机にある写真に目が行く。


「あの写真何?」


優希ちゃんは写真たてを持ってくる。本当にたくさんの写真。その中には例のBMWの男性が・・・。指をさして誰か聞いてみる。

縁16 「これ?優希のパパだよ。かっこいいでしょ。私が4歳くらいの時の写真なの。」


え?パパなのか?あの男の人って・・・。そして違う男性も二人。


「これは?」
「兵庫のお爺ちゃんと曾おじいちゃん。曾おじいちゃんなんてもうすぐ100よ。見えないでしょ?兵庫のおじいちゃんは元自衛隊のトップにいて、そのあと兵庫県の副知事さんをしていたの。今はのんびりしてるのよ。おじいちゃん達もかっこいいでしょ?」


ふうん・・・。さすが優希ちゃんのパパってかっこいい。もちろんおじいちゃん達も・・・。優希ちゃんは写真たてを机に戻し、再び勉強を始める。そういえば、優希ちゃんは僕のこと、感じがパパに似ているって言ったよね。そういやなんとなく似ているような気がした。


トントン・・・


「優希ちゃん、そろそろ休憩したら?ケーキ焼いたのよ。」


といってお婆ちゃんがケーキと紅茶を持ってくる。


「孝志君、おばあちゃんのケーキ、最高においしいの。プロ級なのよ。食べて食べて。」


実は僕甘いものは超苦手・・・。出されたジュースも我慢して飲んだんだけど・・・。


「あれ?食べないの?」
「あ、ごめん、甘いものは超苦手なんだ・・・。食べると胸焼けしちゃって・・・。匂いだけでもだめなんだ・・・。」
「え?まるで優希のパパみたい!!!パパもね、甘い物まったくだめなんだ。ホント孝志君て優希のパパに似てる。偶然ね。じゃあ、優希が食べちゃうね。」
「そうなの?へえ・・・。」
「じゃあ、クリスマスもバレンタインも手作りケーキは無理なんだね・・・残念。得意だったのに・・・。」


優希ちゃんは僕の分までおいしそうに食べる。ホント幸せそうに、おいしーとか言いながら・・・。その姿を僕はじっと苦笑しながら見つめているって感じでストレートティーを飲む。



そういやこの部屋には二人っきりだった。付き合ってもうすぐで2ヶ月になるのにキス1回しかしていない。もちろん真横に優希ちゃんがいる。幸せそうな顔をしながらケーキを食べる優希ちゃん。


「優希・・・。」


優希ちゃんが持っているカップをそっと取ってソーサーに置く。そして優希ちゃんを抱きしめる。


「孝志君・・・・?」
「優希・・・。」
「何?」


わかるかなあ・・・はじめてちゃん付けしていないのを・・・。もちろん優希ちゃんは真っ赤な顔をして下を向く。僕は優希ちゃんの顎に手を・・・そしてキス。前回はちょこっとだったけど、今回は長め。優希ちゃんは目を閉じている。ここがもし僕の部屋なら、そのまま押し倒してって言うことがあるけれど、ここじゃあねえ・・・。まあ、キスだけにしておこう。それ以上はまた今度・・・。