縁  (14)夏休み | 超自己満足的自己表現

縁  (14)夏休み

縁14  楽しい1学期も終わり、成績表を受け取り帰宅。明日から毎日のように優希ちゃんと顔を合わすことなんて出来なくなる。家に帰るとまず成績表をおじいちゃんに手渡す。超進学校で中学時代、校内成績50位以内をキープしていた僕。ひと月前に行われた模試で何とか50位以内をキープ。成績表もまずまず。満遍なくいい。お爺ちゃんはニコニコしながら頷く。


「孝志、夏休みは石川の婆ちゃんのところへ行くのか?」
「わからないよ・・・。」


僕の生まれた石川。お爺ちゃんと母さんの実家がある。有名な温泉地の温泉旅館(というよりホテル)がお婆ちゃんち。お婆ちゃんは女将をしていて、母さんの2歳年下の妹である叔母さんが若女将。今まで毎年のように、まるで父さんから逃げるように遊びに行っていた。石川のおばあちゃんは毎年僕が訪れるのを楽しみにしている。夏休みの一番忙しいのに、優しく接してくれるから心地いい。母さんに良く似たお婆ちゃん。お婆ちゃんも若い頃CAをしていたから、歳を取っても綺麗で若い。温泉街いちの美人女将として知られている。まああっちに行ったら温泉やおいしいものを食べて羽を伸ばすことが出来るんだけどね・・・。今年は優希ちゃんと遊びに行く約束がある。それがいつだかわからないから、行かないかもしれない。でも結局行かないことにして、出来るだけ優希ちゃんと会える様にしたんだ。優希ちゃんも何とかするって・・・。


「孝志君、あのね。お盆は東京にいないの。おじいちゃん、おばあちゃん、お兄ちゃんと芦屋のおうちに行かないといけないの。」
「そっかしょうがないよね。で、いつ会えそう?」
「まだわからないの・・・。また連絡するね。今度は海よね?楽しみにしているから・・・。そうそうお爺ちゃんにリゾートマンションの鍵を借りたの。そこを拠点にして海水浴しようよ。海岸のまん前だからすぐだよ。」
「んん・・・。」


泊まりは出来ないけれど、二人っきりになれる空間が出来る?ちょっと期待してしまう。まだキスは一度しか出来ていない。もちろん僕は男だからそれ以上のことを期待しちゃったりしてさ・・・。本当の楽しみで楽しみでわくわくしていた。


 そうそう、モデルの件のことを忘れていたよ。あの日から数日後におじいちゃんの携帯に社長さんから電話がかかってきたらしい。もちろんおじいちゃんはお断りしていたんだけどね・・・。しょうがない、僕はまだ未成年だから、こういうことをしようとすると、親の同意がいる。


 ある日事務所の社長さんから電話がかかる。


「遠藤君?今回は残念だったけれど、気が変わったらいつでも連絡をくれ。待っているよ。もちろん美咲との件は保留ということで・・・。ホント残念だった。スポンサーも乗り気だったんだけどね・・・。丁度美咲と遠藤君のイメージがぴったりだったんだけど・・・。」
「本当にすみません。また何かあればよろしくお願いします。」


と返事・・・。残念だね。でもチャンスはあると思う。うん。