縁 (9)2回目のデート
優希ちゃんとの2回目のデート。週末、父さん母さんはほとんど地元に帰るから楽でいい。今日は土曜日。学校はない。土曜日であれば、父さん母さんは石川に泊まるので、帰ってこない。
朝から東京メトロ広尾駅で待ち合わせして手をつないで駅の構内へ・・・。今日はお台場に行くことにした。恵比寿まで出て、色々電車を乗り継ぎ、東京テレポートまで行く。優希ちゃんは久しぶりのデートにうきうきしているのがわかる。
もう季節は夏。まだ梅雨が明けていないけれど、今日はいい天気。お台場海浜公園へ行き、優希ちゃんはサンダルを脱いで海水に足をつける。白いチュニックと夏っぽいアロハ刺繍の入ったロングスカート。時折吹く風がスカートをめくり、優希ちゃんは恥ずかしそうにスカートのすそを押える。
「孝志君も足つけたら?気持ちいいよ。」
僕はレジャーシートに座って、優希ちゃんを眺めた。本当に楽しそうな優希ちゃん。そのあと優希ちゃんお手製のお弁当を食べて、お買い物。
「孝志君、今度夏休みに入ったら、海水浴に行こうよ。江ノ島?それとも湘南?江ノ島近くにはお爺ちゃまのリゾートマンションがあるのよ。」
「いけたらいいね。今日は何時までに帰ったらいい?」
「今日はね、ママがいるから、家事しなくていいし、ママったらね、久しぶりにゆっくりしてきなさいって。ずっと家事をきちんとしていたご褒美だって。ちゃんとお小遣いももらっちゃった。孝志君は?」
「今日はうるさい父さんがいないし、おじいちゃんも引退したとはいえ、まだまだ若いから、党の用事で永田町に行って遅くなるって聞いたよ。だからゆっくり出来る。夕飯食べて帰ってもいいのかなあ?」
「いいってママが言ってたの。お友達とたまにはゆっくりしてきなさいって。」
「お友達?」
「うん・・・。ごめんね。実は孝志君と付き合っていること言ってないの。」
「どうして?」
「だってね、色々心配かけさせたくないの。彼氏が出来たって聞いたらきっとパパは心配するよ。そして色々干渉して来るんだもん。お姉ちゃんに好きな人が出来てお付き合いをしてたら結構パパったら干渉してしまって、お姉ちゃんったらパパと縁を切るって言って飛び出したことがあったの。まあそれはパパがお姉ちゃんを心配しているからだと思うけど・・・。」
「優希ちゃんって優しいんだね・・・。」
「そんなことないよ。私パパが大好きだから・・・。たまにしか家に帰ってこないけど、とてもいい人なの。パパはかっこよくて優しくて私の理想なの。」
そうなんだ。かっこよくて優しいか・・・。こんなに可愛い優希ちゃんだもん、きっとお父さんはかっこいいんだろう。お母さんもCAだって言うからきっと綺麗な人なんだろうな・・・。そういや僕の母さんも元CAだ。今も綺麗だけど、昔の写真を見たらスタイル良くてすごく綺麗だった。きっと僕は母さんの容姿を受け継いだのかな?自分で言うのもなんだけど、普通よりは上だと思うんだ。
「孝志君もかっこいいし、優しいから大好きだよ。まるでうちのパパみたい。本当に孝志君といるとパパといるみたい。そっくりじゃないけど、なんとなく似てるの。感じが・・・。」
そういうと優希ちゃんは僕の体に優希ちゃんの体を預ける。優希ちゃんのお父さんってどんな人なんだろう。興味津々。