縁 (3)タレント仁科美咲
僕の憧れのタレント、仁科美咲について語ろうと思う。
仁科美咲さんは僕よりも3歳年上の19歳。早稲田大学政経に通う才女であり、子供モデルから、ティーンズモデルを経てCMやモデル中心のタレント。お爺ちゃんが若い頃にブレイクしたタレントで女子アナだった北野彩夏(本名は和気彩子。現在与党顧問であり、父さんの敵対する派閥の代表者である和気代議士の奥さんなのだ。)の再来といわれている。お爺ちゃんに言わせると、そっくりだってさ。本名、出身地などは知られていない。
彼女が出るCMの商品は馬鹿売れし、モデルで着た服も品薄になる。彼女が出た番組の視聴率も爆発的によく、カリスマタレントといわれている。
父さんがいない時の家は安らげる。今日は遅いみたいだね。母さんは笑顔で食後のお茶を飲んでいる。
「今日親父は?」
「食べて帰るって。派閥のお食事会。今度総裁選でしょ?弐條・和気派には負けないって意気込んでいたから・・・。ああ、ゆっくりできる。好きなテレビ見たらいいわ。ママも息抜きしないとね。」
母さんは微笑みながらリビングのテレビをつける。テレビをつけると仁科美咲が出ている。
「ねえ母さん、可愛いよね。仁科美咲。」
母さんは苦笑しながら言う。
「そうね。お母さんにそっくり・・・・。」
「え?知ってるの?仁科美咲のこと?知り合い?」
「え?ママなんか言ったかな?」
なんかごまかしているんだよね。きっと知っているんだろうね。でも口止めされていると思うんだよ。母さんのためにこれ以上突っ込まないことにしたけどね。
本当に可愛いよね。仁科美咲。これで芸歴12年のベテランなんだから、びっくりだよ。
そんな仁科美咲に似ている弐條優希ちゃん。僕よりもひとつ年下。好きにならないわけない。僕の理想的な女の子なんだから。