四神降臨 復活編 最終章 鳳凰降臨 (2)願い事

麻沙耶はやっぱり男の子だよ。その力は力強かった。おとこおんなじゃない。この胸のドキドキ感。やはりこれは恋だよね・・・・?麻沙耶もなんだかたくましく見える。黒龍との戦いをともに戦ってきたから?ひとまわりもふたまわりも麻沙耶は成長した。男らしくなったよね?
美しい瑞鳥鳳凰は微笑みながら僕たちを見つめていた。
「あのね、私からあなたたちに贈り物があるの。」
と、鳳凰が言う。贈り物?
「あなたたちの願いを叶えてあげる。何でもいいとは言えないけれど、一人一つ言ってごらんなさい。もちろん朱雀の皇子、守護龍、白狼も言って御覧なさい。あなた方はよくがんばってくれたもの・・・。」
みんなは考え込む。そして一人ひとり言っていく。九条君は平和。安倍君は天変地異がなくなること。守護龍・龍磨は立派な守護龍として守るべきものを守りたいと、白狼はずっと安倍君と一緒に過ごしたいと、麻沙耶は僕のために男らしくなりたい、そして僕は・・・。
「あの・・・鳳凰。僕、いえ、私は・・・人間になりたい。朱雀じゃなくて人間に・・・。」
「どうしてなの?不死鳥のあなたが・・・。せっかく覚醒したのに?」
「それが嫌。兄さんが言っていた。愛するものがみんな老いて死んでいくのを見届けなくてはならない苦しさ。永遠の若さなんていらない。私は麻沙耶と一緒に人間として生きたい。麻沙耶と一緒に歳を重ねて最後まで寄り添いたいから・・・。だめかな?兄さん・・・。」
兄さんは私の言葉に微笑んで頷いてくれた。もちろん鳳凰も私の願いを受け入れてくれた。最後に兄さんの願い・・・。
「私は何も要らない・・・。しいて言えば、紫苑をはじめみんなが幸せに暮らせさえすれば何もいりません。それでいいですか?鳳凰様・・・。」
「わかりました。皆さんの願い、受け入れましょう。」
鳳凰は変化して天高く飛び立ち、眩い光を放つ。とても清々しい聖なる光・・・。私は体の中の朱雀が消え去り、生まれ変わったような感覚を覚えた。鳳凰が消え去ると、まぶしい朝日が昇ってきた。
「兄さん、これ返すね。」
私は兄さんに朱雀のしるしを手渡した。もちろん私の分も含めて。
「これは紫苑の・・・。」
「もういい。もう私は朱雀の姫皇子じゃないから。朱雀の印は必要ないの。私の本当の父と母は私が人間になったことを怒るかなあ・・・。」
「そんなことはないよ。紫苑が決めたことなんだ。」
麻沙耶が私の側に来て微笑む。私は麻沙耶の体に身を預けて光り輝く朝日をみんなで見つめた。本当にひさしぶりに清々しい朝がやってきた・・・。