四神降臨 復活編 第9章 (8)朱雀変化 (へんげ)
黒龍王に首を絞められ僕の意識は遠のいていく。僕の胸元にしまっていた大切なものすべてが黒龍王の足元に落ち、聖水の入った器は割れ、聖水は飛び散った。もうだめだと思った瞬間黒龍王の手が緩んだ。
「ぎゃー!!!!」
守護札、朱雀の印が青龍の聖水に反応し、とてつもない陽の気が僕の周りを包み込んだ。そして黒龍王はもがき苦しんでいる。僕は大切な朱雀の印を拾い、胸元に大切にしまう。
「おのれ!紫苑!!!!」
黒龍王はもがきながら人型から黒龍に変化した。漆黒の鱗の龍に青龍の青い気が包み込んでいる。黒龍王の気は一時的だろうけれど弱まった。黒龍王は僕の腕を掴みにらみつける。
「紫苑!お前を喰わせろ!!!」
「い、嫌だ!!!」
僕はいつの間にか真っ赤な朱雀のオーラに包まれ、身が軽くなった。僕の体は宙に浮いている。そして飛び散る炎の羽。長い炎の飾り尾。そう僕は朱雀に変化したんだ。
炎の羽は屋敷に火をつける。僕に襲い掛かる魔獣たちを焼き尽くし、僕は天高く舞い上がった。それを追いかけるように先日朱雀神社に現れた黒い鷹。炎上した漆黒の森の上で、にらみ合いが続く。仕掛けてきたのは黒鷹。完全覚醒したこの僕に襲い掛かる。もちろん僕は完全覚醒した上に、ここに来る前に飲んだ聖水、そして兄さんの力の一部が吹き込まれた朱雀の印があったからか、力の差は歴然だった。
「ギャ~~~~~~~~!!!!」
僕の放った烈火が見事に命中し、黒鷹は炎に包まれ落下していったんだ。その炎は燃え盛る漆黒の森へさらに引火。大火事となった。遠くで聞こえる消防車のサイレンの音。僕は急いでもとの姿へ戻り、兄さんたちの待つ森の入り口へたどり着いた。
この炎の中、黒龍王はどうなったのか?これくらいで倒れるような奴ではないのはわかっている。