四神降臨 復活編 第6章 朱雀 (3)朱雀の国 | 超自己満足的自己表現

四神降臨 復活編 第6章 朱雀 (3)朱雀の国

 私は休日、祠にこもり考え事を一日中していた。どうすれば紫苑君の心の闇、邪悪な気を取り除き、そして心の奥底の清い心、朱雀の気を引き出すことができるのだろうか。私はふと思い出し、私の生まれ故郷である朱雀国へ行ってみることにした。久しぶりに訪れる朱雀国。まだまだ再建途中ではあるが、父である朱雀王は人間界に住む私を快く迎えてくれた。


「父上、私は人間界で不思議な少年に出会いました。」
「不思議な少年?」


私は父にことの一部始終を話した。すると父は言葉を失ったのだ。それっきり話をしない父は私にあるものを渡したのだ。それはある札。人間界で言う命名札というべきか。そこにはこう書かれている。


『第二皇子 朱央  第二姫皇子 紫苑』


と。
私の妹の名前、それは紫苑というのである。母は黒龍族に捕まった少しの間、ずっと紫苑を抱き『紫苑、紫苑』と声をかけていた。しかしある日紫苑は取り上げられ、そして母は黒龍王に朱雀の力を吸収するために喰われたのだ。母は紫苑が処分されているものと思い込んでいた。もしそれがわが妹紫苑であれば、どうして黒龍の側にいるというのだ?そしてどうして男の子として育っているのだ?


母は私が人間界に戻る間際、あるものを手渡す。それは朱雀のしるし。朱雀のものが必ず持っているというあるもの。そのあるものを私は大切に抱き、人間界へ戻ったのである。