四神降臨 復活編 第5章 復活のための誘惑 (8) 復活 | 超自己満足的自己表現

四神降臨 復活編 第5章 復活のための誘惑 (8) 復活

 「ふ、うまくやったものだな・・・。」
「これはこれは、黒龍王様。お帰りなさいませ。」


麻沙耶が去ったあと、一人の男が現れる。これはまさしく黄龍に封印された黒龍王の人型の男。麻沙耶の悲しみ恨み憎しみの心のおかげで封印が完全に解かれたのだ。黒龍王は、黒龍妃の前に座り、密談をする。


「さすが、玄武の力は相当なもの。この私でも解くことができなかった最後の封印を見事解いてくれた。あの少年、確かにあの時の玄武の姫君の転生した姿。今思うだけでも憎たらしいあの小娘。まあいい・・・。紫龍、いや紫苑に例の事ばらしてはならぬぞ・・・。私が封印される前に紫苑の本当の力を封印しているからいいものを、真実の姿を知った時にはわが黒龍族は再び危機にさらされる。」
「わかっておりますとも・・・。いまだ一神、現れておりませんわ。」
「んん・・・。例の朱雀の皇子、今回は関わるものではなかったようだな。」


もちろんこの話は誰にも聞こえない心の声。もちろん別室にいる紫龍いや紫苑には聞こえない。


「ということはわかるか?黒龍妃よ・・・。」
「はい・・・決して紫苑をあちら側につかせてはいけないということでしょうか?」
「そういうこと・・・。今のところ玄武もわれらの手の内にある。この玄武を霊の神として覚醒させ、こちらにつけさえすれば、四神降臨はぜず、そしてにっくき黄龍も降臨しまい。あと紫苑の事だが・・・。例の事に気がついた場合、私はあいつを喰う。喰らって朱雀覚醒を食い止めなければならんのう・・・・。あいつと赤の勾玉が出会う前にあいつを処分することにはなるとは思うが・・・・。本当にお前の母心というもののおかげで、こういうことになるとは思わなかったが・・・・。」
「わかっております。私が責任を持って気がつかせないようにいたします。」


この夜、密談は長く続く。もちろん紫苑はこの内容をまったく知らないのである。