四神降臨 復活編 第5章 復活のための誘惑 (2) 玄武に近づく者 | 超自己満足的自己表現

四神降臨 復活編 第5章 復活のための誘惑 (2) 玄武に近づく者

 「さあ、今日は季節はずれだが、転校生がいる。黒田紫苑(しおん)君だ。」

と、近衛麻沙耶の在籍するクラスに一人の少年が転校してくる。その少年は金色に近い茶色い髪をし、一際目立つ少年である。もちろん休み時間となると、周りの女の子たちが集まり、いろいろとこの少年に探りを入れるのである。


「ねえ紫苑君って、もしかしてハーフ?」
「どこから転校してきたの?」


少年はある一点を見つめつつも、女の子たちの相手をする。ある一点とはもちろん玄武に関するもの、近衛麻沙耶のことである。このクラスで除外されているかのような存在の麻沙耶。仕方なく休み時間は本を読んだり、勉強をしたりと一人寂しく過ごしているのである。少年は立ち上がり、麻沙耶の前のいすに座り、話しかける。


四神降臨5-2 「君、いつも一人でいるけど、一人で楽しい?あ、僕の名前は黒田紫苑。君は?」
「僕は、近衛麻沙耶。別に好きで一人でいるわけじゃないよ・・・。」
「へえ・・・。」


といって少年は麻沙耶の顔を覗き込む。麻沙耶は真っ赤な顔をして目をそらす。


「かわいい顔してんじゃん。こういう顔好きだよ。」


そしてにこっと微笑んで立ち上がると、もといた席へ戻る。そして一変して不気味な表情をする。もちろんこの表情は誰も気づかなかった。


「紫苑君、やめときなよ。あんなおとこおんな。」
「おとこおんな?」
「あいつは男のくせに男が好きなの。変な子でしょ?」
「ふ~~~ん。(もしかして母上が言っていた誘惑って・・・?そういうことか・・・。おもしろい・・・。)」


少年は時折獣のような瞳で麻沙耶の方を見つめているのである。