四神降臨 復活編 第1章 始動  総集編2 | 超自己満足的自己表現

四神降臨 復活編 第1章 始動  総集編2

「朱雀様、これを着てください。」

と、散髪屋のご主人。今時の髪型に散髪したあと、ご主人がこの私に今時の服をくれたのだ。


「すみません、息子のお下がりで・・・。こちらには息子さんがおらんから丁度いいと思いまして・・・。神主の私服ではねぇ・・・。これで四条河原町でも買出しにいけますよ。」


私は微笑み、散髪屋のご主人に礼を言う。もちろんこういう服は何度か近所を散歩の際に神主のものを借りたことがある。着方ぐらい知っている。そこまで私は時代遅れではない。試しに着てみると着物と違って楽でいい・・・。まあ和服の場合は気が引き締まっていいものだが。


「さすが朱雀様、どう見ても今時の青年ですね!かっこいいかも。」


神主の奥さんも私の姿を見て微笑んでいる。


「そうですね。我が家に息子がいればこういう感じかもしれません。さ、朱雀様、お買い物に行きましょう。それといつまでも朱雀様ではねぇ・・・。」


ホントそうだ・・・。もちろん私の本名朱央(すおう)と呼んでもらうこととなった。今日から私は朱央さんと呼ばれる。朱雀ではなく源朱央。


 我が朱雀神社は京都中心部から南、伏見の辺りにある。小さい神社だから地図にはあまり載らない。別名、火神神社。火の神を祭っているという意味だ。もちろん朱雀は火の鳥といわれる神獣。一部の古来から火を取り扱っている者が信仰しているほかは地元のものしか知られていないというべきか・・・。


「本当に朱雀様にはお世話になりっぱなしで・・・ここ何十年もいや何百年もこの町内では火事ひとつ起こらない。そしてやけどをする者も少ない・・・。消防団などないのも等しい・・・。また朱雀様のお札を頂戴していきますよ。」
「いえ、私の力だけではありませんよ。町内の皆さんが心がけているからこそ火事が起こらないのです。油断は禁物です。いいですか?」


私はお札の紙にササッと呪文を書き、息を吹きかける。これが朱雀神社のお札となる。まあこれがこの私の収入源となる。いつも気持ちだけの代金をもらうのだけど。ま、気持ちだけだからすごい人はど~~んと置いていく人もちらほら・・・。


 今の京都は昔ながらの風景を残しつつ、繁華街と言われるところもある。もちろん繁華街など行ったことはない。まずはJR京都駅前で色々探してみる。ここは百貨店というものがあり、いろいろここで揃ってしまうのだから便利なものだ。やはりこういうところは来たことがないから私はキョロキョロしてしまう。それを見て奥さんと亜樹はくすくすと笑う。

「そんなにおかしいですか?」
「もう朱央様ったら、イケメンの顔して行動はまるで・・・・くくくく・・・。」


イケメン?今時のかっこいい男ってことなのか?何度か亜樹からそういう言葉を聞いている。もちろん私は照れ笑い。


「ねぇママ、こうすると私と朱央様って恋人同士に見える?」


といって亜樹は私の腕に手を回してくる。


「どう見ても兄妹かしら・・・。まだ亜樹は16歳ですものね・・・。」
「え~~~そんな。ママったら意地悪。」


本当にこの家族は暖かくて居心地いい。代々この家系はそうだ。だからずっとお世話になっているのであろう・・・。


 たくさんの身の回りのものを買い揃え、帰路につく。やはりすごい量だ。大型の乗用車いっぱいになるもんだからね。もちろん私には母屋に私の部屋まで用意される。この日買った物を家具に整理していく。どう見たって私は現代人だ。私の今回の身分設定はここにいる亜樹のいとこになっている。そしてきちんと戸籍まで与えられるという徹底振り・・・。あとはどれだけ私が現代の人として振舞えるかどうかだねえ。


 私はいつものように朝5時に起き、身を清めた後、御神体に祈りをささげる。熱心な信仰者は私と共に朝晩の勤めを行うのだ。お勤めが終わったあと、もちろん色々相談にのったりしている。ほとんどがお年寄りだけどね。みな私を慕い、頼ってくれる。よく家族間のトラブルの仲裁を頼まれたりするものだ。別にそういうことは苦ではない。そうであるからこそ、私のことを外部に公言しないのかもしれないね。


「朱央さま、そろそろ時間ですよ。」
「ああ、亜樹か。今母屋に行こうと思っていたんだ。」


私は信仰者にお勤めの礼を言うと祠を出る。今日から私はいち教師である。特命教師であるけれど。
朝食後、私は着替える。昨日用意したスーツを。着替え終わると神主をはじめ皆は驚く。


「んん・・・朱雀様、本当に普通の青年のように見えますよ。」
「キャーかっこいい!さすが朱雀様。」
「朱雀様は体形がよろしいからですわ。はい、お弁当です。亜樹のいる高校は学食がありますが、お口に合わないといけませんので、当分お弁当を・・・。」
「あ、ありがとうございます。」
「それと、これは定期です。亜樹とでしたら電車に乗れますか?使用方法は亜樹に聞いてください。」


四神降臨 1-6  私は大き目のカバンにすべてを詰め込む。そのカバンを肩からかけ、神社を出る。小学生の登校時間に重なるのか、子供達が私の側に詰め寄り、挨拶をしていく。


「生き神様!おはよう!!!今度の休みさあ、境内で一緒に遊ぼうよ。」
「ああ、そうだね。早く学校に行きなさい。」
「はあい!いってきます!!」

ホントこの町内の子供たちはいい子達ばかりだ。本当にこの町内の空気は活気に満ち溢れ、平和そのもの。そして昔ながらの交流も盛んな理想的な町・・・。居心地いい。
 

亜樹と共に電車に乗る。実は初めてだ。なんとか亜樹のいうとおりに人でいっぱいの電車に乗り、何個目かの駅でおり、学校へ向かう。亜樹と同じ制服を着た生徒たちが続々と集まってくる。

「亜樹おはよう!あれえ?隣の人は誰?」
「私の従兄妹の朱央さんだよ。いい男でしょ。今日からうちの先生なんだよ。」
「へえ・・・亜樹にこんなかっこいい従兄妹がいたんだ。初耳・・・。」
「でしょ。ずっと遠いところで学生していたからねぇ・・・。」


私は照れながら亜樹の友達に挨拶を・・・。

おかしくないか?

普通の青年に見えるか?

それだけが心配だ。


四神降臨1-7  校門に差し掛かったころ、一台の車が校門の前に止まる。そして一人の男の子が降りてきた。


「あ、生徒会長の九条竜哉(たつや)先輩だ。理事長さんのお孫さんなの・・・。」


すると私の胸元に掛けてある3個の勾玉のうちのひとつが震えだす。こんなことはここ数百年なかったことだ。


「朱央さん、どうかした?」
「いや・・・。何でもありません・・・。何でも・・・。」


なんだろうこの感覚は・・・。あの少年の顔・・・どこかで・・・。私は色々思い起こしてみる。今までであった様々な人の顔を思い出してみる・・・。なかなか思い出せないまま、理事長室に入り、私は赴任の挨拶を・・・。


「あなたが源朱央さんですか?文科省から伺っております。もともと文科省におられていたとか?史学専門で・・・。」
「はい・・・。文科省では史学について管理しておりました。」


そう私は文部科学省からここの学校へ派遣されたことになっている。もちろんそれは正しい歴史を教えるためというかなんというか・・・。もちろん政府から依頼され受け入れた理事長は大喜びで、この私を疑うこともなく受け入れるのだ。まあ私は非常勤と言うことで担任は持たず、授業以外は自分の机に向かっているだけ。史学準備室があり、そこを私の自室のように使っていいといわれている。まあ特命教師として動くわけだから、このような部屋は必要だ・・・。


 あんなに震えていた青の勾玉。今はもういつもの静けさに戻っている。

どうしてだろう・・・。もしかして四神、青龍に関する者が現れたのか?

そうだとしたら・・・今起こっている天変地異や、様々な不可解なことはもしかして・・・。


それならばこれはやばいことになりそうだ。