四神降臨 最終章 黄龍降臨 最終話 人として生きる
何もなかったように時間が過ぎていく京の都。本能寺の変を起こした光秀は三日天下に終わる。信長に代わり、正親町帝の新しい後見人は秀吉。正親町帝は東宮の婚儀の後、譲位を決意する。
魔王との戦いの記憶が消えることなくいつものように東宮御所にいる四人。違うのは守護龍龍磨と、式神白狼の白老がいないことのみ。四人と龍哉の母宮以外は、龍磨と白老の存在の記憶はない。
龍哉と麻耶姫は見つめあうと、赤い顔をして微笑む。母宮も二人の表情を見てうれしさのあまり涙を流す。
婚儀は滞りなく行われ、龍哉と麻耶姫は夫婦となった。いつも寄り添い、幸せそうにする様は東宮御所中を和ました。もちろん祖父である正親町帝も、二人仲のよさに微笑む。
「あ、そうだ・・・これを皆に返すのを忘れていたよ・・・。」
と龍哉は立ち上がると、厨子に置いてある黒い塗りの箱を持ってくる。龍哉はふたを開け、一人一人に勾玉を返していく。
「多分、今までのような力はないと思うけど、お守り代わりとして持っておくといいと思う。」
みなはうなずくと、今までのように勾玉を首にかける。もちろんあの戦いのあと、西斗と麻耶姫の四神の力はなくなっている。
「東宮様、もう私には癒しの力はないのですね・・・。」
と麻耶姫は悲しそうな表情で龍哉に言う。
「麻耶、あなたにはきちんと力がありますよ。あなたが側にいるだけで、この僕は癒される。立派な癒しの力ではありませんか・・・・。」
麻耶姫は扇で真っ赤になった顔を隠し、照れ笑いをする。龍哉の麻耶姫に対する惚気話に、西斗と朱央は微笑みながら退出する。
龍哉は麻耶姫を引き寄せると、抱きしめる。
「東宮様。」
「何?麻耶。」
「麻耶は懐妊いたしました。」
「え?」
「ですから、麻耶は、東宮様のお子を懐妊しました。このおなかに東宮様との赤ちゃんがいるのです。」
龍哉は驚き、真っ赤な顔をしてマヤの顔を見つめると、満面の笑みでさらに麻耶姫を抱きしめ、麻耶姫にくちづけをする。
国は平和になり、都は活気付く。そして青龍の皇子・龍哉と、玄武の姫君麻耶姫は末永く幸せに過ごしたのです。
四神降臨(完)
当分小説はお休みします。
充電充電・・・。