四神降臨 最終章 黄龍降臨 (11)朱央の決意
黒龍の姿が消えた後、都の空は晴れわたる。戦い終えた黄龍の前に浮かぶ、3つの光の玉。
白い玉は西方へ、
黒い玉は北方へ飛んでいった。
赤い玉は黄龍の戦いを見つめていた朱央の前に現れ、その玉は朱雀の形になる。
「朱央・・・・。」
さらに朱雀は女性の姿となる。
「朱央・・・。このような立派な姿に・・・・。」
「あなたは?」
と朱央が問いかける。
「私は朱雀王妃。あなたの母です。」
「母上?」
朱雀王妃は微笑みながらうなずく。
「朱央を人間界に逃がしたのは間違いではなかった。黒龍に国を襲われ、王をはじめ皆別れ別れとなったのです。私だけが黒龍につかまり、喰われてしまったのです。王の機転で前もって朱央を逃がした。ありがとう朱央・・・。これで国を復興できる・・・。もし王が国に戻らなかった暁には朱央、あなたが王となり、復興を・・・・。」
朱央は首を横に振る。
「きっと父上は生きておられます。そして私はここに残り、育ての親とともに生きます。人間として・・・。」
朱雀王妃は悲しそうな顔をしたが、別れの言葉を交わすと、朱雀の姿となり、南方の空に消えていった。
「朱央様。よろしいのですか?」
と西斗が問う。朱央は苦笑し、南の空を見つめて言う。
「ずっと人間として生きてきた。いまさら朱雀の皇子として生きてもしょうがないだろう。子供のいない育ての親たちはどうなる?私が世話をしなければね・・・・。」
「そうですか・・・・。」
西斗も空を見上げて苦笑した。