四神降臨 第4章 覚醒 (6)策略
ある寺に訪れる高貴な男たちとある家臣。家臣は高貴な者達が上座に座ると平伏する。
高貴な者とは朝廷側からは関白近衛前久をはじめ五摂家当主、武家側からは羽柴殿、毛利殿、長曾我部殿が集まっている。
目に余る元右大臣織田殿の行いをなんとかしようとするものである。
議論は深夜まで及び、ある決断を下す。ある提案を言い出したのは関白近衛殿。
「明日、本能寺に織田殿は入るといったね・・・。そこで新月の六月二日にそなたに謀反を起こしていただきたい。このままでは朝廷どころか、この国を危うくする人物である。もちろん、織田殿の首をとった暁には、そなたに正式に位を与え、源氏の流れを汲むそなたに征夷大将軍に任命するよう、帝に働きかけよう・・・。もちろん、この謀反に手出しは無用・・・。朝廷としてはそなたに加担しようではないか・・・。」
「そ、そのようなことは・・・。」
すると五摂家のひとつ鷹司卿が言う。
「そなた散々なことをされたと聞きましたよ。このままでいいのですか?あのような魔物のような者を野放しにしておいても・・・。関白殿の言うとおりになさればよろしいものを・・・。末は外祖父になり得る近衛殿ですぞ・・・。」
家臣は首を縦に振るとこの寺を後にした。
そのあと、続けて関白は言う。
「羽柴殿、長曾我部殿、毛利殿、ここからの話は恐れ多くも帝からの言葉と思われよ・・・。」
一同は息を呑み、耳を傾ける。
「謀反の後の処理はあなた方にお任せする。表面上は朝廷として触れたくはないこと故、いいですか・・・・。結果を見てから褒美などを検討するつもりである。わかりましたね・・・。」
武家のものたちは平伏して朝廷側の者達が立ち去るのを待つ。武家の者達は謀反の後のことを話し合うのである。