四神降臨 第4章 (2)嵐の前の静けさ | 超自己満足的自己表現

四神降臨 第4章 (2)嵐の前の静けさ

四神降臨 4人完成図  五月晴れの暖かな日、東宮御所では、いつものように東宮の周りに侍従2人、頭中将、そして未来の東宮妃、麻耶姫が集まって歓談している。


やっと東宮と麻耶姫の婚儀の日取りが決まり、東宮と麻耶姫は仲睦まじく毎日を過ごしている。


ある一定の距離を保ちつつも、二人は見つめあい、微笑みあう。そして周りに居る者達も2人の関係を微笑ましく見届けている毎日であった。


 ここのところ異様な程、物の怪の出現はない。まるで嵐の前の静けさというべきか・・・。白老もこの日は珍しく表のほうで暖かい日差しを浴びて日向ぼっこをしている。


『ふぁー、いい天気だ・・・・。先日までの不安はなんだったのだろうか・・・なあ西斗・・・。』
「そうだね白老。そんなに端近に居て平気なのかい?」
まあ、わしたち以外の御所の者たちはわしのことをただの犬と思っている節がある。そのほうが気分的に楽でいい・・・。』


白老は大あくびをして西斗に腹を見せる。西斗は白老の腹を撫で、微笑む。傍目から見ると、本当にのどかな昼間。しかしそのような安らぎの時間は長くはなかった・・・。


 白老の耳がぴんと立ち、髭がぴくぴくと動く。そして仁王立ちをすると御所上空を見つめている。先程まで穏やかだった空模様が一変して異様な雲に包まれる。太陽の光がだんだん失われ、辺りは夜のように暗くなった。