四神降臨 第3章 覚醒の兆し (8)引き籠り | 超自己満足的自己表現

四神降臨 第3章 覚醒の兆し (8)引き籠り

 ここ数日、龍哉の体調は思わしくない上、人を寄せ付けようとはしなかった。


帝は心配し、典薬寮の者を御所に向かわせても突っ返す始末。


ごく側近である、龍磨、西斗以外は部屋に入れない。もちろん龍哉の母は心配し、何度足を運んでも会おうともしなかった。


侍従西斗 西斗は御所に部屋を借り、泊り込むことにした。そして陰陽寮から数々の資料を持ち込み、調べ物をする。


無論、これは白老の提案である。


龍哉は普通の人ではない。半龍半人なのである。半分龍の為、人間の医師ではなにも出来ないであろうと思ったのである。


「白老・・・。秘術ねぇ・・・。人に対する治癒や魔物に対する撃退なんかはあるけど、龍を治癒したりなんかは・・・・。やはり龍磨を龍国に行かせるしかないのかなあ・・・。どう思う?白老・・・。」
『んん・・・。玄武の姫に頼む手もあるかもしれんが、これは先日の邪気が原因ではないと見た。』



白老は龍磨を呼び、龍国に行かせる。龍磨は龍王の使いを連れ戻ってきた。


「龍哉様、龍国より使いを連れてまいりました。御簾の中に入ってもよろしいでしょうか?」
「許さん!誰であろうと中に入れさせない!」
「しかし!いつまで引き籠っておられるつもりでしょうか!使いの者は父君龍王様より命を受けた龍医師。龍王様もたいそうご心配に・・・。ですから、龍哉様。」
「わかった・・・父上の命であれば仕方がない・・・。いいよ・・・使いの者のみ・・・。」


龍医師は御簾の中に入る。

龍哉は結い髪を下ろし、力なく脇息にもたれかかり、入ってきた龍医師を睨みつける。

その表情は今までの穏やかな龍哉ではない。

荒い息遣いと獣の目。

そして時折顔をしかめる。

しかし感じるのは邪気ではない。