四神降臨 第3章 覚醒の兆し (5)魔の契り
いいか・・・
玄武と青龍の契りを阻止せよ・・・
そしてお前の姿で青龍の皇子を・・・
お前が契れば皇子の力は消滅する・・・
魔王より解き放たれる魔の手。
今日は新月の夜。
龍哉の寝殿に忍び寄る黒い影・・・・。
寝殿中央の御帳台で横になる龍哉。
そして昼夜問わず側に控える守護龍・龍磨。
龍磨はふと表のほうに気がつき、立ち上がる。
扉がカタンと開き、黒い影が入ってくる。
「そこにいるのは誰だ。ここは東宮様の御寝所。限られた女房以外の立ち入りは禁じたはず!」
龍磨は明かりを持って気配のするほうを照らす。明かりに照らされた人影・・・。
「麻耶様????」
その姿は東宮妃になるべき姫君麻耶姫。
御付の者を従えず、先触れの者なしにやってくるなどありえない。しかし姿は麻耶姫。おかしいと思いつつ龍磨は平伏する。
「下がって・・・。東宮様はもう眠ってしまわれたの?」
「はい、すでに御帳台にて・・・。」
「そう・・・。あなたは下がりなさい。私が東宮様の側に・・・。」
「しかし・・・。」
「下がりなさい。私は東宮妃になるのよ!私がこうしてわざわざここに来るということがわからないの?」
仕方なく表に出て外の廊下に座る龍磨。
麻耶姫の姿をした者は龍哉の御帳台に入る。そして小袖姿となり、龍哉の布団の中へ・・・・。龍哉は気がつき、起き上がると顔を真っ赤にして離れる。
「ひ、姫・・・!?」
「同じ御所内にいるのに相手をしてくださらないので寂しいのです・・・。ですから・・・。」
そういうと龍哉の胸元に飛び込む。
そして龍哉にくちづけ・・・。
「いずれ私はあなた様の妻になる身・・・。遅かれ早かれ・・・ですから・・・・龍哉様・・・。」
龍哉はハッとする。
そして自分からその者を引き離すのである。
「麻耶姫じゃないな!麻耶姫は僕の本名を知らない!麻耶姫は僕のことを和仁または東宮と呼ぶ。何者!龍磨!どこだ!曲者だ!」
曲者は龍哉を押し倒す。
龍哉がこの者を引き離そうとしても相当な力。
女の力ではない。
これは魔物か・・・・。
龍磨は急いで寝所に入ってくる。
「龍磨!変化(へんげ)を許す!この者は人ではない!龍磨!」
龍磨は龍に変化(へんげ)する。変化したと同時に龍哉の勾玉が光る。
ギャ~~!!!!
魔物は麻耶姫の姿から鬼の姿になり、御帳台から飛び出し転げまわる。
「龍磨!この物の怪を黄泉へ戻せ!!!」
「御意!」
『結!』
龍磨は魔物の周りに結界を張り、呪文を唱える。龍磨の体は青白く光り、結界は青白い炎に包まれる。
『滅!』
ギャ~~~~~~!
その言葉とともに青白い炎は消え去り、魔物は跡形もなく姿を消す。龍磨は元の人型に戻り、龍哉のもとに駆け寄る。
「龍哉様、お怪我はございませんでしたか?」
「いや・・・。少し引っかかれた程度だ・・・。僕が覚醒さえすれば・・・。あれくらいの魔物を倒すことぐらい・・・。危なかった・・・・。ありがとう龍磨・・・・。」
「いえ、これが私の役目・・・・。しかし、麻耶姫と思い、龍哉様の御寝所に入れてしまった私にも責任が・・・。」
「いいよ・・・実はこの僕もわからなかった・・・。あの魔物が僕の本名を言わなかったらね・・・・。」
一方手下を向かわせた魔王は手下の邪気がなくなったことに気がつき、計画が失敗し、悔しがり暴れまわる。そして次の計画を立て直すのである。
追伸:挿絵は改めて添付いたします。(たぶん・・・。アメブロの調子がよければ^^;)