四神降臨 第2章 降臨 (6)白虎の君
小さい頃より陰陽道の道を究め、陰陽道の神童として帝の覚えもめでたい若君へと成長した。
帝はこの若君に殿上に必要な従五位の位を与え、たいそうかわいがった。もちろんこれは異例中の異例のこと。この若君の父でさえ、従五位。やっとのことで掴んだ位である。その父と同じ従五位という殿上人となった若君は、同じ年の東宮、龍哉にある日はじめて会う。
「陰陽頭嫡男、この度東宮侍従を帝より賜りました安倍西斗にございます。東宮様、何なりとお申し付けください。」
この若君は守護龍龍磨と同じ東宮侍従の位を賜ったのだ。
龍磨はこの若君の胸の辺りに光る白い勾玉に気づき、この若君に対しても平伏するのである。
「あなた様は白虎様であられましたか・・・。」
不思議そうな顔をする若君を見て、龍哉は龍磨に言葉の意味を聞く。
「龍哉様、龍哉様もお持ちでしょう。青い勾玉を・・・。それは以前も申し上げたとおり青龍の証・・・。そして近衛の姫君は黒の勾玉・・・。黒は玄武の証・・・。そしてこの白の勾玉は白虎が宿った証なのです・・・。私は龍哉様のしもべではありますが、四神の証を持つ者にも従わなければなりません。ですから・・・。」
そういうとさらに龍磨は平伏するのである。
つづく