四神降臨 第2章 降臨 (1)青龍の皇子の力と鍵
すくすくと育っている東宮龍哉。もう5歳となった。笑みの絶えないその表情は帝をはじめ内裏中を和ませる。しかし時折見せる獣のような表情。それに気づいたのはやはり母。
「半龍半人の龍哉・・・。この子の未来はどうなってしまうのだろう・・・。」
と龍哉の母は嘆く。
時折現れる龍王の使い。龍哉の寝顔を見ると何かを言い残して消えていく。それが何なのかは、龍の言葉であったので理解できなかった。そして龍王の使いに渡されるひとつの勾玉。龍哉の首にかけまた消えていく。気になった母は陰陽頭に真意を相談する。
「姫宮様。東宮の力に相当なものを感じます。東宮の力を封印したほうがよいかもしれません・・・。まだ東宮は幼子・・・。力の加減が出来ない恐れがございます。爆発的な力が出てしまった場合、この都は無事ではないでしょう。」
母は承諾し、龍哉の力を封印する。
陰陽頭は紙に何かを書くと、龍哉の胸元に置く。そして呪文を・・・。
「封・・・。」
しかし封印の呪文は破られ、龍哉の胸元に置かれた封印呪文の紙は宙に浮き、燃えてしまう。そして龍哉の胸元に掛けられた青い勾玉が青白く光る。
「どうして封印できないのだ・・・。」
後ろに忍び寄る気配。
『龍哉の力、封印は許さん・・・。』
声の主は龍王龍希。
龍王は眠っている龍哉を抱きしめ、続けていう。
『龍哉の力を封印すれば、四神は集まらぬ・・・。龍哉は四神降臨の鍵となる。そして・・・最後の五神目・・・。黄龍を復活させなければ、乱れは収まらない・・・。あなた方が立ち向かう敵は、黄龍なくては倒せまい・・・。この青龍最強の力を持つ私であっても・・・。その敵がどのようなものであるのか、そしてどのような力があるのか・・・。想像不可能な敵・・・。』
龍哉の母は龍王に近づく。龍王は微笑み、龍哉を龍哉の母に返す。
『姫宮。よい子を産んでくれたね。この龍哉は私にとっても大事な子。この龍哉の力は私以上・・・。この子なくして青龍の繁栄はない。それどころか消滅しまうかもしれない。ですから姫宮、龍哉が覚醒するまで、頼みましたよ・・・。龍哉には守護龍をつけておこうと思う。きっと何か助けにはなると思うが・・・。』
そういうと龍王は龍哉の母の頬に手を延ばし、名残惜しそうな顔をして光と共に消えていくのである。