四神降臨 第1章 予言 (9)白虎
青龍の皇子が生まれた年の秋、ある邸にも若君が生まれる。
陰陽頭安倍家の待望の男児。しっかりとした顔立ち、そして凛々しい顔立ちは陰陽頭を喜ばせる。
若君の名は「安倍西斗」。
この名前は陰陽道の占いにより決められた。
この若君が生後2ヶ月ごろのことである。
父である陰陽頭は自室で書き物をしている。するとふっと明かりが消える。何か引き付けられる様に若君のいる部屋へ向かう。
グルルルル・・・・

父の目にはこの若君が噛み殺されようとしているように見えた。
陰陽頭は式神を使い、その獣に立ち向かうも見事に敗れる。
しかし白い獣はこちらを見つめるも、一行に襲う気配がない。それどころかさらに白い光を放ち、若君の頬をなめたあと、若君の体内に消えていった。
「あの獣は一体・・・。」
陰陽頭は若君に駆け寄る。そして抱き上げると、今まで若君がつけていなかったものに気がつく。
「これは・・・?」
若君の首には白い勾玉がかけられていたのだ。その勾玉は清い光を放ち、若君を包み込んでいる。
「あれはもしや・・・。白虎・・・?何故うちの嫡男に・・・・。」
自室に戻ると紙にこう書かれている。
『青龍にひきつけられし白虎、選ばれし幼きものに宿る。』
また神の声を書き記す式神の仕業か・・・。
つづく・・・