四神降臨 第1章 予言 (8)誕生 | 超自己満足的自己表現

四神降臨 第1章 予言 (8)誕生


 春の日差しが感じられる頃、姫宮は産気づき元気な皇子を産む。



見た目は普通の男の子。



この皇子の産声は都中に一時的な安泰をもたらせた。



命を狙う物の怪たちは皇子の誕生を恐れ、息を潜める。



 名前は「龍哉」。



帝は待望の皇子の誕生に、大喜びし、帝の養子に迎える。



なぜなら年が明けた頃、病で臥せっていた東宮が崩御し、東宮は不在になっていた。帝にはもう東宮になるべき皇子が居ない。帝は意を決し、父が龍王かどうか確かではないこの皇子を東宮とするために帝の養子としたのである。



生後すぐに龍哉は東宮の宣旨を受け、東宮となる。



そして皇籍にこう書かれる。



名は和仁親王。父は亡き東宮誠仁親王。母は藤原晴子と・・・。



「姫宮、すまないね・・・。姫宮の子として東宮には立てられないのだよ・・・。亡きお前の兄宮と東宮妃の子として・・・。我慢をしておくれ・・・。」



もちろん姫宮はわかっていた。

父君が誰とも知れないこの若宮を東宮に立てることができないことくらい・・・。たとえこの若宮が龍王の子であったとしても・・・。



つづく