四神降臨 第1章 予言 (6)龍の国
龍の国。
たくさんの龍たちがこの龍王に仕えている。もちろん普段は人型。見た目はホントに人と同じ。姫宮が育った人間界と同じような生活をしているのである。
姫宮と龍王はその日から毎日会い、いつの間にか2人の間には愛が芽生えていた。
姫宮は一身に寵愛を受け、幸せに暮らしていたのだ。
しかし龍王には正妻がいる。そして龍王の子供たちまで・・・。もちろん正妻は人間である姫宮が気に入らない。正妻からの嫌がらせに耐えながら龍王の愛を信じ、過ごしていた。
そしておなかの中には龍王との愛の結晶が・・・。
「龍希さま、私、懐妊をいたしました・・・。龍希さまとの子を・・・。」
「そう・・・。姫、あなたはここにいてはいけない・・・。ここにいてはあなたが辛い目にあう。人間界にお帰りなさい。待っている人がいる。そしておなかの子は人間界に必要不可欠な子になるであろう・・・。」
「龍希さま・・・。どうして?どうして辛いの?」
「私も辛いのです。あなたのほうが先に死んでしまう・・・。私の歳を知っていますか?私は三百歳。しかしまだまだ若い。そして人間であるあなたがここにいるために、歪みが生じてくるのです。ですから・・・。お帰りなさい。これを差し上げます。きっと何かの役に立つから・・・。」
龍王は姫宮に水晶の玉を渡し、姫を人間界に送り届ける。
そして姫宮にお別れのくちづけ・・・。
「きっとお腹の御子があなたやいろんな人々を助けてくれるでしょう・・・。それがこのお腹の子の使命だから・・・。」
そういうと龍王は光に包まれ、消えていったのである。
姫宮の言葉を聞いた帝は言葉を失った。信じようと思ってもそのようなことがあるのかと思ったのである。しかしこの姫宮は昔から嘘などつくような姫宮ではなかったので、信じようと思ったのである。
つづく