四神降臨 第1章 予言 (5)龍王
1年前、鈴鹿山脈の峠で姫宮達一行はある残党に襲われた。
お付きの者達が切り殺されていく中、姫は輿の中でいつ自分が見つかり辱めにあうのかと怖がりながら、守り刀を握り締め、震えていた。もちろん見つかればただではすまないであろう。きっと連れて行かれて辱めにあうのはわかっている。そうなった時には自害しようと思ったのである。
しかし、輿の外から手が伸び、姫宮の腕を掴まれ外に引っ張り出されようとした瞬間、雷鳴が轟き、残党に降り注いだ。もちろん残党は倒れ、姫宮のみが助かった。
その男は光を放ち、姫宮のほうを見つめていた。姫宮は引き寄せられるようにその男の元へ近づく。
「あなたが助けてくださったのですか?」
「はい・・・。危ないところでした・・・。」
「わたくしは今上帝の二の姫宮斎宮怜子と申します。あなたは?」
「私は龍王龍希。あなたのような人間ではございません。」
「龍希さま?」
「ここにいては危ない。とりあえず私の国へ参りましょう。」
姫宮と竜王は眩い光に包まれ姿が消える。
深く木の生い茂る樹海の中。姫宮は龍王に部屋を与えられ、当分お世話になることになった。
つづく