四神降臨 第1章 予言 (4) お腹の子の父
大津の瀬田から姫宮が戻ってきた。姫宮は痩せているわけでもなく今までと同じ美しい姫のままであった。姫宮は清涼殿の御簾の前に座り、頭を下げる。何も話そうとしない姫宮を見て、帝は御簾から飛び出し、姫宮を抱きしめた。
「お父様・・・?」
「姫宮・・・今までどこの居ったのか?」
「それは・・・。私にもよくわかりません・・・。」
また姫宮は黙り込んだ。帝は姫宮を御簾の中に入れ、母君と対面させる。
「まあ、怜子。元気そうで何よりでした・・・。懐妊されていると聞きましたが?」
「はい・・・。春ごろ生まれるかと・・・。」
「お相手は?」
姫宮は黙り込み下を向く。すると帝が言う。
「下々のわけのわからないものであろう・・・。」
「いえ!お父様、違います。このお腹の子の父君は・・・。お父様もお母様も、きっと信じていただけないと思います。私もはじめは理解できなかったのです。でもその方は私を大切にしてくださって、ご寵愛くださいました。」
姫宮はお腹の子の父について話し出す。
つづく・・・