四神降臨 第1章 予言 (3) 瀬田の唐橋 | 超自己満足的自己表現

四神降臨 第1章 予言 (3) 瀬田の唐橋

あの予言から半月後のこと、帝にある報告が入る。



「申し上げます。」

「んん・・・。」

「大津、瀬田の唐橋あたりで伊勢斎宮と思われし姫君が発見されました。」

「何!?女二の宮が???」

「ただいま斎宮様の乳母君が大津へ向かって確認をしております。」

「おお!そうか!!!女二の宮であれば、すぐにでもこちらに連れてまいれ!!」

「御意!」


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伊勢斎宮とは一年前に戦乱に巻き込まれ、行方知れずになった帝最愛の姫宮である。この報告に帝は心を躍らせ、伊勢斎宮の乳母君の報告を心待ちにする。



そして帝は眠れないまま朝を迎える。この日はなんといい空をしているのか。いつもはどんよりとした曇り空であったが、この日に限っては快晴であった。朝の四方拝を済ませると、昼の御座に座り、伊勢斎宮の乳母からの知らせを待った。



ほんの一刻がなんと長いことか・・・。帝は立ち上がると、清涼殿内をうろうろするのである。



「主上・・・落ち着きなされませ。きっと見つかったのはわが姫宮怜子に違いありませんわ。」



と、帝の正室が帝の申し上げる。



「しかしもし姫宮であれば、今までどこに居ったというのだ?無事であろうか・・・。」



その時、早馬で清涼殿に使いが来る。帝は御簾から飛び出し、使いの者に問いただす。



「瀬田で見つかった姫はわが姫宮であったか?どうした早く申せ!」

「御意・・・。確かに伊勢斎宮様でございました・・・・ただ・・・。」

「ただ?何だ?」

「身重なのでございます。」

「姫が身重だと?」

「はい、確かに・・・。」

「とりあえず姫宮をここに連れてまいれ・・・。いいな、早く!」

「御意!」



帝にとって姫宮が身重であることに関してはどうでもよかったのである。ただ早く最愛の姫宮をこの目で見たい。この腕に抱きたいと思って使者をせかしたのである。



冷静になった帝は疑問に思う。

姫宮のお腹の子の父は誰であるかということを・・・。