うまのきもち~ある競走馬物語 (10)レース中!やばい!!! | 超自己満足的自己表現

うまのきもち~ある競走馬物語 (10)レース中!やばい!!!

 僕は急いで全力で走った。

初めから全力で走ることって滅多にない。


ずんずん最後尾と差が縮まる。



竹下悠は早すぎる僕の手綱を引っ張ってスピードを落とそうとしているんだけど、そんなことをしたら1着にはなれないんだよ!


この馬鹿!!!


おっちゃん、調教師さん、厩務員さん、そして姉ちゃんと優勝するって約束したんだ!!!

竹下悠!お前の言うことなんか聞くもんか!!!



 僕は竹下悠の制止を無視してずんずん飛ばして一頭また一頭と抜かしていく。スタンドは大騒ぎしているのがわかる。


そして最後の直線!

あと3頭抜けば優勝だ!!!



一歩一歩先頭集団に近づき、一頭一頭抜かしていく。



あと一頭。



一番人気のやつ!!!



僕は後ろ足に違和感を覚えながらも必死に走った!

やっと捕らえた先頭のやつ!

一歩一歩差が縮まる。



そしてゴール寸前!

頭の上げ下げで鼻差でゴール!!!



勝ったか???

多分勝ったと思うんだ!!!



そして僕は少しずつスピードを緩め停止する。

冷静になって後ろ足が超痛いのに気がつく。

痛い足を蹴りあげながら、痛さのあまり嘶く。



竹下悠は僕の異変に気づき僕から降りて後ろ足を確認する。


「あぁ!しまった!!」


竹下悠 泣く
そういうと僕からゼッケンと鞍をはずし、呆然とする。



そしてたくさんの職員に囲まれた僕を見て膝をつき、座り込んだ。


僕の近くに馬運車が用意される。

急いでやってきた厩務員さんに引かれながらその馬運車に乗せられ獣医さんのところに連れて行かれたんだ・・・。



場内はすごいブーイングの嵐・・・。


優勝した僕が故障・・・。

どうなるんだろう・・・。このまま帰って来れないのかな・・・。