ドリーム・クエスト (37)初めての旦那様の仕事場
和気さんの事務所は実家の隣の市にある。
同じ条件で家賃が安いらしい。
3LDKのマンションを借りてそこを事務所にしている。
そしてその1室を二階堂さんが借りているという感じ。
私は初めて行くのよ。
とても素敵なデザイナーズマンションで、壁はコンクリートのうちっぱなし。これが賃貸だなんて・・・。
玄関はオートロックだし、4階建てなのにエレベーターがあって、そこの最上階72平米の角部屋。
駐車場1台付で13万!
さらに来客用に1台駐車場を借りている。
近くの駅から歩いて10分。
大阪空港まで車で5分ちょっと。
のどかなところだけど、事務所にするにはいい環境かもしれない。
東京に比べたら破格よね・・・。
ホントお洒落なマンション。
玄関を入ると12畳のリビング。
ここを事務所にしているの。
スタッフが二階堂さん入れて3人。
3部屋は和気さんの執務室(ほとんど使わないけど・・・。)、資料倉庫、そして二階堂さんの自室。
二階堂さんがここに住んでいるおかげで24時間体制で動けるのよ。スタッフの2人はバイト。ま、電話番や雑用をしてもらっているって感じ。政治家って儲からないのよね・・・。養う人が多すぎ。
和気さんはスタッフに挨拶をして私と一緒に執務室へ。
一応和気さん用のデスクにパソコンが置いてあって、立ち上げる。
ここの部屋にはソファーと机。そこに私は座って和気さんの仕事を見ているの。
和気さんは官邸の弐條のお義兄さんと連絡を取り合ってパソコンに向かいながら仕事をしている。普段の仕事姿ってこういう感じか・・・。スタッフの一人が私と和気さんにお茶を入れてくる。
あ、そうそう・・・私事務所の人に差し入れを・・・。
私はケーキを差し入れたの。
「すみません奥様。みんなで頂きます。」
ホント真剣な顔して仕事している旦那様の顔・・・。初めて見たかも知れない。これが官邸内での表情なんだ。
時折和気さんは私の顔を見ると微笑んで、何かパソコンに打ち込んでいるのよね・・・。
「彩子、悪い、そこの本棚の六法全書とって。」
私は立ち上がって六法全書を手渡す。法律関係の絡んだ仕事か?こういうことは弐條のお兄さんよりも詳しいから急な仕事が入ったんだね・・・。
「終わった、終わった!!!さ、これを弐條にメールして完成!!!」
和気さんは体を伸ばして机を片付けだした。
片付け終わると、和気さんは私の横に座って私の肩を抱き、キス。
「ごめんね彩子。せっかくのデートを邪魔しちゃって・・・。今夜も気を使って大変だろうけど、頼むよ。また埋め合わせするし・・・。」
今夜は和気家恒例のクリスマスパーティー政財界、医師会その他諸々100人くらい集まって和気さんの実家で行われるのよね。
私ははじめて和気家次男の嫁として出るの。
ちょっときんちょー。