ドリーム・クエスト (28)公になった二人の関係 2
俺たちは夕方の新幹線で東京に戻った。
品川駅に着くと改札に彩子のマネージャーが待っていた。俺はマスコミ用の写真データを渡して、ここで彩子と別れる。俺は二階堂と共に赤坂にある議員宿舎に戻らなければならないんだから・・・。その日のうちに彩子の事務所はマスコミ各社にFAXを流す。
「マスコミ関連会社各位 当社所属タレント北野彩夏(21)は昨日内閣補佐官であり、衆議院議員和気泰明氏(27)と京都北山の某教会にて挙式いたしました。詳しい内容につきましては後ほど記者会見をさせていただきます。」
俺は議員宿舎に着くと早速パソコンを立ち上げて北野彩夏のブログを見る。書いてるかいてる・・・。
『皆さんこんばんは!(*^ー^)ノ
昨日はブログUPしなくてすみませんでした。(。-人-。)
そういえば一昨日のブログで、京都でモデルの仕事って書いてましたよね。
でも実は私の大好きな人と挙式していました(///∇//)
でも私は知らなかったんです。仕事だと思っていったらそこには彼がいて・・・。実は結婚式だったんですよ。ま、半分仕事だったんですが・・・。携帯の写真で見にくいかもしれませんが、こういう感じです(///∇//)
お相手は代議士の和気泰明さん。2年前から付き合っていました。
当時私は普通のモデルで、和気さんは某代議士の秘書さんでした。だから私は和気さんが代議士だから結婚したんじゃないんですよ。(*^.^*)
和気さんったら私のための年末から20キロもダイエットしてくれてね。太目の彼が普通の彼になりました。そしてかっこよくなったのよね・・・。(//・_・//)
また記者会見とかできちんとお話しますので、ちょっと待ってね。とりあえずご報告まで。
北野彩夏。
あ、一応和気さんのHPのリンクを張っておきます。(/ω\) 』
ええ、リンク張ってるの?
かなりの勢いでアクセス数が増えてるんだよね・・・。
写真はダイエット前の写真。ああ写真を差し替えないといけないな・・・。
おおサーバーダウン寸前かも・・・。
弐條と違ってまったく今までメッセージが入らなかったのに・・・すごい数。
祝福メールならいいが、文句たらたら書いてるメール、脅迫まがいのものまで・・・。う~~~ん明日は二階堂に議事堂まで送ってもらうか・・・。報道陣もいそうだしな・・・。
「二階堂、今からで悪いけれど、適当に文章作っといてや。それを近所のコンビニでたくさんコピーしてさ、もし明日の朝報道陣がいそうだったら俺の代わりに配っといてや。」
「了解。」
ほんま二階堂は有能なやつや。俺がいった事を疲れているのに、いやとも言わず、自分のパソコンを出して仕事を始める。そして俺がHPの更新中に原案を出してくる。
「んん・・・これで頼むわあ・・。ひとまずプリントアウトしてさ、100部コピーしてきてや。領収書ももらってこいや。」
「了解。」
30分ほどしてコピーした紙と、夜食と朝食を買ってくる。ホントに気が利くいいやつだ。俺は夜食、朝食分の代金を渡して、領収書を受け取る。もちろん領収書は経費落としという事で、それ専用のファイルに入れておくのを忘れない。
ま、こんなやり取りはおいといて、俺は今日二階堂が撮ってくれた選りすぐりの写真から、トップページの写真を今の写真に変え、プライベート日記のところに彩子との婚礼写真のスナップを載せておいた。彩子が洋装を載せていたから、俺は装束を・・・。きちんと解説も載せて。
「昨日、私、和気泰明は挙式いたしました。
お相手はタレント北野彩夏さん。
我が和気家は代々昔ながらの装束で婚礼写真を撮るのが慣例でして、私は束帯を、彩夏さんは本式の十二単を着て撮影いたしました。
うちの秘書が撮った素人写真ですが、ご覧ください。
和気泰明」
はじめは載せるかどうか悩んだけどな・・・。
とても彩子がきれいに写っているスナップがあったから、これに決めたんや。
さ、明日、朝が怖いな・・・。
次の日、俺は朝早く起きて、身支度を整える。
さすがいつものように二階堂は朝が早い。
昨日、登院は車でって伝えておいたから、多分車をきれいにしてくれているんだろう。
あいつはそういうことするのは好きだからな・・・。
俺は車には疎いけれど、去年の春二階堂と相談して買った黒のアリスト。
買ったのはいいけれど、結構忙しすぎてあまり乗っていない。実は埃まみれ・・・。きっと二階堂は朝から洗車してくれているんだろう・・・。案の定、二階堂は汚れたタオルをかかえて戻ってきた。
「車洗車しといたぞ。ばっちりワックスもしといたからな。」
「で、外の様子は?」
「そうだな・・・。ちらほらいるぞ・・・。報道関係者。俺は顔を知られていないから、声さえかけられなかったけどな・・・。覚悟しとけよ。」
「んん・・・。」
朝食をとると、さあ出勤準備。きちんと髭を剃り、寝癖を治す。
二階堂は準備が整ったようで、身支度中の俺に声をかける。
「和気、車を正面玄関ロビー前までまわしとくから、早く降りて来いよ。」
「んん・・・。頼むな。コピー忘れるなよ。」
二階堂かスーツにIDをつけながらコートを着て部屋を出て行った。
俺も忘れ物がないか確認し戸締りをして下に降りる。俺は登院前に官邸へ行かないといけないので、ほかの代議士よりも早く宿舎を出る。案の定マスコミがいっぱい。玄関ロビーから出てくると一斉にマスコミが俺に近づいてくる。二階堂は運転席から飛び出してきて、車のドアを開け俺を乗せドアを閉める。
「和気さん!北野彩夏さんとのことで一言!」
「和気さん!」
二階堂は昨日作ったコピーの半分をマスコミの中の一人に渡す。
「これに和気補佐官の言葉が書かれておりますので、勘弁してください!」
二階堂はそういうと、車に詰め寄ってくるマスコミをどかしながら、運転席に乗り車を出す。
「官邸まで頼むよ。ごめんな二階堂。」
「いやいい。」
赤坂2丁目にある議員宿舎は歩いて官邸に行ける距離なんやけど、今の状況じゃ行けんやろ。
二階堂に官邸前で降ろしてもらって、官邸内に入り、自分のデスクに座る。もう同僚弐條は来ていた。
「和気さんおはようございます。朝から大変そうですね・・・。」
「ああ。朝からマスコミに囲まれたよ。」
ま、ここではみんな俺が北野彩夏と結婚していることを知っているから大騒ぎにはならないんだけどね・・・。
昼過ぎからは彩子が記者会見をするって言ったから、結婚会見は彩子のほうに任せよう・・・。
俺は国会で忙しいからね・・・。
はあぁ・・・・・・・