ドリーム・クエスト (24)元彼に会う彩子
私は和気さんと無理やりの夫婦生活・・・。ショックでホテルを飛び出した。
あんな和気さんはみたことなかった。
年末から和気さんはいろいろ機嫌が悪かったし、私の元彼が昨日と今日和気さんの前に出てきたことで、きっとパニクってたのはわかる。でもひどいよ。無理やりだなんて・・・。
私はこの前こっそり和気さんの携帯から元彼であり、和気さんの私設秘書、二階堂さんの電話番号を拝借してたの。何かあったときに相談しようかなって思って。だって中学のころからの親友だって聞いてたから・・・。
和気さんのことで悩んだらいろいろ聞こうと思って私の携帯のアドレス帳に登録しておいた。もちろん名前は女の子の名前で和気さんにわからないように・・・。
そして私は二階堂さんの携帯に電話をしたの。
「もしもし・・・二階堂さん?」
『え?彩ちゃん???』
「今から会える?相談したい事があって・・・。」
『今どこ?』
「梅田・・・。今阪神前の陸橋にいるの・・・。」
『わかった今から会おう。30分したらそっちに行けるから、大阪中央郵便局の角で待っててよ。』
「うん・・・。」
私は二階堂さんの言うとおり中央郵便局の角で待った。
ビル風が身にしみる。
ほんの30分が長く感じた。
何度も和気さんから電話があったけど、着信拒否をした。
ホントにひどい・・・。
私の前に一台の車。
見たことのない黒いスカイライン。
窓が開き、二階堂さんが微笑んでいる。
「彩ちゃん乗って・・・。」
私は二階堂さんに言われるまま、助手席に乗る。
さすが車好きの二階堂さん。
きれいに整頓された車内。
大事に乗っているのがすぐわかる。
そのまま二階堂さんは阪神高速に乗って、大阪南港へ・・・
。海の近くに車を止めて、エンジンをかけたまま私に声をかけてくる。
「どうかしたの?彩ちゃんが俺に話って・・・。」
最近、秘書のスーツ姿しかみた事がない私・・・。
私服はやはり以前と同じ、お洒落でかっこいい。
「あのね・・・和気さんが変なの・・・。無理やり・・・。」
「え?!あの和気が???そんな・・・。」
私は二階堂さんに詳しく話した。
二階堂さんは心配そうな顔をして私を見つめてる。
そんな顔をしないでよ。二階堂さんのことまた好きになっちゃうじゃない・・・。
二階堂さんもまだ私の事が好きなのよね・・・。
二階堂さんは私のために近くにあるハイアットリージェンシーに空き室がないか電話してくれて、ツインルームを取ってくれた。
そして私と二階堂さんは同じ部屋に泊まることになった。
私と二階堂さんはまるで恋人同士のように抱き合って、キスをする。
ほんと長い長いキスで・・・・。
まあそれ以上のことはなかったんだけど・・・。
いいよね、これくらい・・・。
昔のことを思い出しちゃった・・・。
きっと二階堂さんはそれ以上のことを望んでいたんだろうけど、私が傷ついているのを察してか、寝ないで一晩中私の側についていてくれた。
何度か和気さんから私の居所を聞く電話があったみたい。もちろん二階堂さんは知らないといっていた。
朝、私は目覚めると、二階堂さんはいなかった。部屋のサイドテーブルの上にはホテル代と、飛行機代、そして伊丹空港までの交通費が置いてあった。
『彩ちゃんへ。きっと和気はおかしかったんだよ。最近いろいろありすぎたからね。許してやって。和気はあんなやつじゃないから。彩ちゃんが一番知っているだろ。俺は仕事があるから先に帰るけど、彩ちゃんはゆっくりして東京に帰ったらいい。 二階堂』
私は二階堂さんに感謝した。
借りを作ってしまったな・・・。
本当に和気さんの親友なんだ・・・。
私をいたわりつつ、和気さんのことも信じている。
二階堂さんはすごくいい人。
昔とまったく変わっていないね。
あのまま別れないでいたら、私は二階堂さんと結婚していたかもしれないな・・・。
ありがとう、二階堂さん・・・。
私は和気さんにメールで先に東京に帰ることを告げ、何とか取れた昼過ぎの飛行機で東京に帰った。