ドリーム・クエスト (22)彩子の元彼~3番目
前日、2番目の元彼、JRA若手トップジョッキー竹下悠と7年ぶりの再会をして、和気さんはとても機嫌が悪い。ホント去年の11月から私は元彼に出会ってしまう。はじめは4番目の彼だった現在和気さんの私設秘書をしている二階堂さんから始まり、クリスマスに再会した一人目の元彼、現在プロ野球選手の上杉さん。そして昨日の悠君・・・。このままだったら3人目、5人目、6人目まで出てきてしまう。和気さんは7人目の彼・・・そして旦那様・・・。
今日はMラジオで深夜番組の収録。私は大阪梅田にマネージャーと集合して、梅田茶屋町にあるMへ・・・。ああここって私が入社試験受けたところよね・・・。結局最終選考で落とされたけれど・・・。
まず収録前に打ち合わせ。MCのタレントさんと、台本見ながら流れを確認していく。実は初めてのラジオ出演なんだよね・・・。打ち合わせをしていると、あるゲストが遅れて入ってくる。
「すんません!前の営業が押してしまって・・・。」
「遅い!あれ?片割れは?」
「まだ移動中なんで、本番までには・・・。」
私は声のするほうを振り返ったの。なんとそこにいるのは3番目の元彼、徳島君。
「あ~~~彩ちゃんやろ?覚えてる?俺のこと。高1の時つきあっとった徳島拓斗や。」
そう、私はこの男と付き合っていたというか・・・。強引に連れまわされてたというほうが近いかも・・・。出会いは予備校通いの電車の中。初めて予備校に通う時に阪神電車の中で痴漢にあってこの徳島拓斗が助けてくれた。そして彼も同じ予備校。クラスは違ったけれど、その事が縁で付き合い始めたって言うか・・・。まあ強引って言うか・・・。「助けてやったんやから付き合え!」とか言ってね・・・。かっこよくて面白かったって言う印象しかない。夢は吉本に入るって言ってたな・・・。付き合ったのは二階堂さんと付き合う直前までで、やはり強引さにつかれたって言うか、束縛がひどくって・・・逃げたって言うか・・・。あまり良い印象がないこの男は・・・。
打ち合わせが終わって、収録前の休憩。拓斗くんは私にコーヒーを買ってきてくれて、昔の話をする。
「ほんま、北野彩夏が売れ出した時はびっくりしたわあ・・・。あ、彩ちゃんって思って・・・。」
「そう・・・。」
「あの時はごめんな・・・。いろいろ迷惑かけて・・・。あの頃は若かったからな・・・。彩ちゃんがほかの男としゃべったりしてるのが許せんかったんや。独り占めしたかったって言うのかな・・・。ホンマ短い4ヶ月やったけど、たのしかったんやで・・・。」
風の噂で、拓斗くんは関西大学に受かってすぐに吉本の養成所に入ってデビューして、去年の漫才の新人部門を総ナメにした、「ブラックボックス」っていう漫才コンビの片割れ。イケメンとブサイク男が面白い漫才をするってことで人気があるんだって・・・。
「ホンマなん。新しい彼は代議士やって?もしガセやったら、この俺ともう一度付き合わんかな・・・。」
「ガセじゃないよ・・・。ホントなの・・・。」
「そうか・・・。幸せか?」
「うん・・・。」
「ところでどこの局に内定もらった?」
「Fだよ。」
「じゃ、また会えるかも知れんな。春から俺、東京進出で、F中心でレギュラー番組もらったから・・・。」
「そう・・・。」
拓斗くんは私の手を握り締めていうの。
「ホンマ友達からでいいんや。お願いやから、やり直してくれへんかな・・・。まだ彩ちゃんが大好きなんや・・・・。」
「友達ならいいけど、それ以上は絶対無理だから・・・。ごめんね・・・。」
「そうだよな・・・。今いい人いるんだもんな・・・。いいよ友達で。メルアド教えてよ・・・。」
「彼に怒られるから教えないよ。ブログのほうに遊びに来てよ・・・。」
私たちは何もなかったようにラジオ番組を収録した。
そして手を振って別れる・・・。
7年も経つと人格変わったね・・・。結構芸人になるのに苦労したのかな・・・・。これからも大活躍するのを見守っています。