うれしはずかし恋愛生活 東京編 (14)帰国 | 超自己満足的自己表現

うれしはずかし恋愛生活 東京編 (14)帰国

 僕は充実したワシントン生活をしている。ホストファミリーもすごくいい人だし、ご主人は政府関係者だから、いろいろためになることを教えてくれるし、休みの日は家族みんなでアウトドアをするとても温かいいい家族だ。ホントに憧れの家庭・・・。


 毎日メールで綾乃とやり取りしているんだけど、相変わらず元気にやってるみたい。 クリスマス休暇は綾乃がワシントンに来てくれて、すごく楽しかったし、ホストファミリーも僕の婚約者と知って、綾乃を家族の一員のように扱ってくれたんだ。もちろん綾乃は英語がぺらぺらだからね・・・。ホストファミリーのご主人は防衛関係のお仕事をされているから、特に綾乃と話があう。ご主人は綾乃のお父さんが自衛隊の司令部にいるときいて、いろいろ聞いてくるみたい。でも綾乃はある程度しか知らないから困っていたようだけど・・・。


 春休みは日本に帰った。住人のいない僕のマンションをいろいろ片付けたり、(響貴は僕が留学すると聞いて引っ越していったんだよな・・・)綾乃やマックスといろんなところに行ったり楽しく過ごしたんだ・・・。


 あとひと月で大学の授業が終了し、日本に帰る。僕はそろそろ大学に提出するレポートや資料、そして届出物の整理を始めたんだ。早く日本に帰るのが待ち遠しい。綾乃は2年生になってるから、今は僕と同じ三田キャンパスで学んでいる。帰国したら一緒に大学に通うんだ。帰ったら僕は4年生。すぐに年が明け、綾乃の誕生日・・・。綾乃は20歳・・・。二人だけで入籍する約束をしているんだ。少しずつ荷物をまとめ、いらない物は日本に送っている。綾乃のマンションに送っているから、綾乃は僕のマンションに持って行ってくれて、整理してくれているんだ。 ホント連絡はメールばっかり・・・。だって時差のせいで生活が合わないんだ・・・。たまには話すけど、ほとんどメール。綾乃が送ってくれる写真つき近況メールが唯一の楽しみで、小さかったマックスが、もう成犬になってるのはびっくりしたかな・・・。当たり前の話だけど・・・。綾乃はなんとか後期試験も単位を落とさずクリアできたみたいだし、今はもう2年の前期試験のために勉強しているらしい・・・。


 あっという間に帰国まであと一週間。ホストファミリーは帰国する僕のためにご近所を呼んでガーデンパーティーをしてくれたりしたんだ。


「雅和、ぜひ結婚したら新婚旅行にこっちにおいで。綾乃さんはホントにいいお嬢さんだよ。」

「ええ・・・。きっとこちらに顔を出します。」

「雅和はきっといい政治家になるよ。君のお父さんのように・・・。君のお父さんはこっちでも有名だし、ファンも多いのだよ。」

「ええ、がんばります。」


ホントにいい方ばかりに囲まれて、楽しい1年だった。いろいろ学んだことも多い。留学してよかったと思ったよ・・・。


僕は久しぶりに綾乃に電話をする。飛行機の時間を知らせるためだ。


「綾乃、5日後の15時45分につく便に乗るよ。そのあとは東京までリムジンバスか電車で戻るから・・・。ついたらどちらにするか連絡する。」

『じゃああたしマンションでおいしいもの作って待ってるね・・・。』

「楽しみだな・・・。久しぶりに綾乃の手料理が食べられるんだもんな・・・。もう前期テスト終わったんだろ?どうだった?」

『まあギリギリ大丈夫そうだけど・・・。がんばったよ!今は結果待ち・・・。』

「そう。帰国したらゆっくり二人でいようね・・・。」

『うんそうだね・・・じゃあ切るね・・・。』


ホントに帰国が楽しみでしょうがない・・・。大学の提出物を先に大学に送り、レポートのみ帰りのカバンに入れ、帰りの支度をする。スーツケースに最後の荷物を入れて、帰る日を待つ。帰りの便が午前中発だから、出発2日前にニューヨークに入り、観光がてらにぶらぶらする。


もちろん綾乃へのお土産も買う。何がいいかなって思いつつやっぱりティファニーでちょっと早いけど結婚指輪を買って帰ることにした。綾乃用の指輪には字を入れてもらった。 これをきちんと持ち込み用のカバンの奥に大事に入れておいた。きっと綾乃は喜ぶだろうな・・・。まだ使わないけど、入籍したら渡すんだ・・・。


やっと帰国の日、僕は滞在先のホテルを出てJFK国際空港へ・・・。搭乗手続きをして綾乃に電話をする。やっぱり綾乃は喜んでいた。だってあと1日弱で会えるんだから・・・。僕は帰りくらいはゆっくりしようと取ったファーストクラスにのり、飛び立つのを待つ。やはり日本の航空会社だ。キャビンアテンダントの日本語を聞くとなんだかほっとするんだ。まだアメリカを飛び立っていないのになんだか日本にいるような気がして・・・。 飛行機が成田に向けて旅立つと、なんだか緊張の糸が切れたようにどっと疲れが来る。機内サービスを受けるまもなく僕は椅子を倒し、横になって眠りにつく。何度か起きて機内食を食べたりした。食べた後は体を動かさないとエコノミー症候群になりそうだ・・・。ストレッチとかしながら、体を動かす。そしてまた横になるの繰り返し・・・。いつの間にか日本領海に入り、着陸態勢に入る。眼下には日本が見える。これは房総半島だろうか・・・。


もうすぐ綾乃に会える。どんな顔で綾乃に会おうかな・・・。やっぱり抱きしめて綾乃にキスしたい・・・。きっと1年経って綾乃はもっときれいになっているに違いない・・・。


あっという間に成田に無事到着した。そして綾乃に電話をする。


「綾乃?今ついたよ!」

『お帰り!何で帰ってくるの?バス?電車?』

「成田エクスプレス32号に乗る。渋谷に6時につくから渋谷からタクシー拾うよ。」

『じゃあ6時半くらいかな・・・。おいしいもの作って待ってるよ!』



雅和&NEX
僕はなんとか座席券が取れて座席に座る。ちょっと1両目というのが気になるんだけどな・・・。まああと1時間半もすれば綾乃に会えるんだもの・・・。


僕は首相公邸にいる父さんに帰国の連絡を入れる。


「父さん、今成田についたよ。成田エキスプレス32号の先頭車両に乗るからね・・・。」

『そうか、やっと帰ってきたか。また自宅についたら電話くれ。』

「んん。明日、公邸のほうに行くからね・・・。じゃあ切る。」


乗る予定の成田エクスプレス32号が静かにホームに入ってきた。僕はスーツケースを持ってスーツケースおき場に固定をすると、手荷物を持って指定席に座る。夕方近くだからだろうか、結構混んでいる。座れてよかったなんて思いながら、やはり疲れからかすぐに眠ってしまった。


夢の中、僕は綾乃と再会していた。とてもいい夢だった。


しかしこの成田エクスプレスがあんな大惨事を起こすなんてこの時はわからなかった・・・。



【作者からの一言&スペシャルサンクス】

m-wonderさん に頂いたNEXの画像で挿絵を描いてみました。やはり著作権の問題で、ネット上などのものは使えませんよね^^;私は関西在住だし^^;先日行った東京でNEXの写真を取れなかったんです^^;m-wonderさん はたくさんの電車画像をお持ちです。だめもとで頼んですんなりいただけたのです^^またキハ28号さんにも画像提供していただけることになっております。

さてNEXが次何を起こすんでしょうか?雅和の身に何か起こるんですが・・・。