夏休み週4でバイトしてる。
半年後には今の職場に
就職するって決まってるから
勉強の意味でもたくさんシフト
入れさせてもらってる。
でも今日はお休み。
ずっと楽しみにしてた
親友とのお出かけ。
スカイツリーにあるカフェ。
やっと予約が取れて
テンション上がりながらも
ゆっくり食事。
タイミングを見て、
「実はさ、プロポーズされたんだ」
って左手の薬指のリングを
見せながら伝えた。
その瞬間
「ええーーーーっっ!?」って
店内に響くくらい
大きな声が飛び出して、
親友が信じられないって
顔をしたあと、
そのまま涙がぽろぽろ
こぼれてきた。
「まじで?やばっ、
せいか
ほんとに良かったね」って。
こっちまで泣けてきちゃって、
2人して涙が
止まらなくなった。
他のお客さんの視線が気になって、
そっとうつむいたら、
店員さんが心配そうに
声をかけてくれて。
「大丈夫ですか?」って。
あたたかい気遣いがうれしくて、
「すみません…
ありがとうございます」って、
親友と顔を見合わせて
小さく笑った。
気持ちを落ち着けながら、
もう一度、ゆっくり話した。
あの日のこと。
プロポーズの瞬間のこと。
彼の言葉。
そして、自分の気持ち。
「まだ信じられなくて、
指輪ばかりみちゃうよ」
「でもちゃんと現実なんだね」って
指輪を見ながらふたりで
しみじみ話してた。
少し落ち着いてから、
親友が言った。
「せいかが、どんな気持ちで
彼のこと想ってたか、
私はずっと見てたからさ。
だから、こうしてちゃんと
幸せになれたのが
本当にうれしいよ」
彼と出会った頃。
彼にはまだ別居中の
奥さんがいて、
きっと誰に話しても
反対されるような関係だった。
でも親友は「せいかがちゃんと
自分で選んだなら、
それが正解だよ」って、
一度も否定せず、
そばにいてくれた。
「ありがとう
ずっと見ててくれて。
信じてくれて本当に救われてた」
そう伝えると
親友は笑ってこう言った。
「そりゃそうでしょ。
私、せいかのいちばんの
味方だから」
その言葉があったかくて
じわーっと胸に沁みた。
心から祝福して
くれる人がいるって、
こんなにも幸せなこと
なんだなって思った。
話して笑って買い物して
気づけばすっかり
遅くなっちゃって。
帰りの電車で彼にLINEした。
「ごめん、ちょっと
遅くなっちゃった。
これから帰るね」
すぐに返事が来て、
「迎えにいくから、
駅着く時間教えて。
かわいい彼女お持ち帰りします」
思わずスマホ抱えて
ニヤニヤしてたら、
親友にツッコまれた。
「せいか、しあわせ
そうでなにより…
てか、ラブラブすぎ!」って。
ふたりで顔見合わせて、
電車の中なのに
お腹かかえて笑った。
改札を出たらきっとまた、
あのやさしい声で
「おかえり」って
言ってくれる。
それを思うだけで、
胸があったかくなって、
また、好きがあふれてくる。
ねえ、なおやさん。
今日もやっぱり、
世界でいちばん
あなたが好きです。
