両手を広げて
 「せいか、おいで」って
言った彼の腕の中に、
 私は迷わず飛びこんだ。



 抱き上げられて、
ぎゅっと強く
抱きしめられた瞬間、 
胸の奥にあった不安や緊張が、
ふわっとほどけていった。




 「せいか、こっち見て」
 そう言われ顔を向けると
彼と目が合って、 
 ずっと見つめ合った。




 少しして、
私は微笑んで言った。
 「面談のこと、
本当にありがとう。
 なおやさん、大好き」 って。





 その言葉に、
彼はゆるんだ表情で 
「俺も、せいかのこと
どうしようも
ないくらい大好きだよ」と、
やさしく返してくれた。





 その声も、その表情も、 
まるごと心に染みこんできて、
 忘れられない。





 彼は私を抱き抱えたまま歩き
ベッドの縁に座らせると、 
キスしてくれた。
 額に、頬に、そして唇に。 
ひとつひとつ丁寧に。 





 「せいかは、
いつも頑張ってるよね。 
もっともっと、
俺に甘えていいんだよ」 
 その言葉が
あまりにもうれしくて、 
思わずぎゅっと
彼の胸に抱きついた。




 そして次のキスは、
さっきより少しだけ深くて、
 想いがあふれてくるような、
熱いキスだった。





彼のこと好きだなぁって、
毎日思う。 
でもその「好き」は、
昨日よりももっと
大きくなっていて、
 時々、自分でもどうしたら
いいのか分からなくなる。




 彼の優しさに触れるたびに、
 こんなに好きになって
大丈夫かな…って、
 不安になることさえある。
 ほんとはね、
 もっともっと、
ずっと一緒にいたい。 





ぎゅってされたら、
嬉しくて、安心して、
涙が出そうになる。
 ときどき「好きすぎて苦しい」
って言葉が ぽろっと
こぼれそうになる。
 だって、
こんなに人を好きになったの、 
生まれて初めてだから。