母の日のプレゼントを
渡した後、
夜は彼が予約した
落ち着いた和食の
お店に彼のご両親と
一緒に行った。
料理が並び始めると、
お父さんがぽつりと言った。
『なおや、最近なんだか
変わったな』って
そしたらお母さんも
すぐにうなずいて、
「ほんとに、せいかちゃんが
そばにいるおかげかもね」って
笑った。
私は「そんなこと!」と
慌てたけど、
彼が小さく笑って、
『ま、確実にせいかの
おかげかな』って
といい、彼はさらに続けた。
『毎日がほんとに楽しいよ。
お弁当作ってくれるのも
もちろん嬉しいけど、
せいかがくれる言葉が、
俺にはいちばん響くんだよね。
大事に思ってくれてるのが、
ちゃんと伝わってくるから。
せいかと暮らせて、
ほんとによかったって思ってる』
お父さんが
ゆっくりうなずいて、
『せいかちゃん、ありがとうね。
なおやを、
やさしく支えてくれて。
親として本当にうれしいよ』と
言ってくれた。
感謝の言葉をかけられて、
私はただ『いえ…』と
笑うしかなくて、
でも本当は彼の言葉や
お父さんがくれた言葉に
涙が出そうだった。
食事を終えて家に帰宅。
玄関を開けた瞬間
なんだかほっとした。
『疲れてない?』 って聞かれ
『大丈夫だよ』って答えたら、
彼は、リビングの
明かりをつける前に、
後ろから私を
ぎゅっと抱きしめてくれた。
『ありがとうせいか。
母さんめちゃくちゃ喜んでたね。
うちの家族のことも
俺のことも
大事にしてくれる
せいかのことを
俺、もっともっと
大事にするから』と
いつもより少し低くて
優しい声で言ってくれた。
そのまま明かりを
つけないまましばらく
ぎゅっと
くっついていた。
誰にも気を
つかわなくていい場所。
そんな2人だけの場所があって
そこに私が居られることが
すごくしあわせなんだと
実感した。
