前回のつづき。

彼は二日酔いみたい。
お風呂に入ってもらって
一緒に朝食を食べる。
朝からしっかり食べてくれる。
ほんとうれしいの一言。


車がないから
お散歩しながら彼の家に行く。
彼は手をつないで
歩いてくれた。


『ねぇなおやさん
会社の人とか通るかも
しれないよ』


『うん、まぁいいよ。
あのさ、せいか
俺、昨日親父に言ったんだよ、
せいかとのこと。
なんかもう既に
知ってる感じだった。
だからきちんと話してきたよ』


『えぇ!』


彼のお父さんは
彼の勤める会社の社長で
私もバイトさせてもらってる
すごく優しい社長さん。
私の父とも仲がとてもよかった。
色々お世話になってる。


『せいか、急だけど
明日一緒に
実家に行ってくれないかな』


『えっ、大丈夫なのかな
怒られるんじゃ……』


『いや、大丈夫。
せいかを怒ったりしないよ』


『うん、わかった。
でも怖いなぁ。
じゃあなおやさんの家で
今からお菓子作ってもいい?
明日もって行きたいから』


『もちろんいいよ』と
笑顔の彼。


本当に大丈夫かな…。
でも父が亡くなったときも
彼のお父さんは
とても私を心配してくれて
助けてくれた。
今もそう。
ちゃんとお礼しなきゃ。
いい機会だもん。