既婚者だと
わかったからといって
気持ちが冷めることも
諦めることも
できなかった。
会社で彼を見ると
ドキドキしてしまう。
風邪から回復した彼は
いつものように私に声をかける。
『んー?今日なんか元気ないね、
なんかあったの?』って。
あなたが既婚者だった事を
知って
ショックだったなんて
言えないから…
『体育でリレーしたから
疲れちゃって、
私こう見えて足速いんですよ』と
私は笑いながら嘘ついた。
『そうなの?
俺も短距離得意だったな。
疲れているなら
バイト無理するなよ』
と言って
頭をポンポンとした。
ダメだ。
やっぱり好きだ。
めっちゃ好き。
泣きそうだった。
『ありがとうございます』と
うつむき加減で答えた。
仕事しながらずっと
彼のことを目で追ってしまった。
重症だ、私。
