暑い日。

風がないせいもあり実際の気温よりずいぶんと暑く感じる。


いえの仕事部屋にはクーラーがない。

工事をするのもだめ、ということなので、それならばと冷風扇を買いにいこうということになる。

いまは扇風機なのだが、それだけではこれ以上の暑さはしのげそうにないのだ。


池袋の家電量販店をいくつか梯子することにし、

昼前に出かける。

途中駅の高田馬場で「久しぶりにあそこでとんかつ食べへん?」と夫。

あそこのとんかつ、とは、新目白通り沿いにある「とん太」という店である。

寡黙なご主人が淡々とおいしいとんかつをあげつづけている店で、夫も私もここのとんかつが好物だ。

高田馬場の事務所で仕事をしていたときはしょっちゅう通っていたのだが、

ここのところ私はほとんど自宅で仕事をしているため足が遠のいている。


久しぶりのとん太は相変わらず混んでいる。

おいしい店、というのはどこにあってもどんな時間でも必ずや混んでいるのが不思議。

もちろんランチタイムなどで客がいっせいに引き払うことはあるけれども、

そのあとにまたどっと混んでくる。

とん太もそういう類の店だ。


夫も私もヒレを注文。

しばらく静かに堪能する。


池袋へ。

いろいろ見ているうちに「窓エアコン」という、工事不要のエアコンを発見し、

冷風扇よりも効果が高そうなので購入する。


夫は量販店のエレベータのボタンに近づいて、丸めたカタログをおなかのあたりに置いて何かしているので

何をしているのかと思ったら「へそでボタンを押す」といっていた。大笑い。

夫はこういうことをよくして、そのたびに私を笑わせる。


その後、「椿屋珈琲店」で休憩。

池袋に来るとたいていこの店で休憩をする。

本店は銀座にあって、職場が銀座にあったころはとてもよく行っていた。

夫はメイプルシフォンケーキとブレンド珈琲のセット、私はスペシャルカフェオレをいただく。


しばらく新聞や本を読み、

バスで帰宅。


すると「ああ、窓が!」と夫の悲痛な声がするので

仕事部屋をのぞくと、なんと窓形状から、購入した窓エアコンがどうやっても設置できないということが判明したのである。

夫も私もうっかりしたことに窓の形状を間違って記憶していたのである。あああ。

仕方ないのでキャンセルの電話をし、他の商品を検討することに。

しかし「窓エアコン」はどこのメーカーもはかったようにほぼ同じサイズしか存在しない。

残念だがあきらめるしかないような・・・。

かといって冷風扇は部屋を冷やす、という効果はないそうだし。困った困った。


夜、うえの弟から電話。

誕生日プレゼントが届いたとのこと。

今回は「電子レンジであたためるだけで日本全国のおいしい丼が食べられる」という丼セットを中心に、簡単に食べられる食べ物と珈琲を贈った。

「いやー相変わらず食生活ひどいから、こういうのがイチバンうれしいんだよね」と弟。


そんな弟からふたつのうれしい話を聞く。

ひとつは、ドクターの論文が通ったとのこと。

「やっとacceptって返ってきたんだよね」と声がはずんでいる。

しかも立て続けに2つの論文が受理されたそうだ。

(論文は英語で、確かアメリカに出していたのだ。そういえばどうしてアメリカなんだろう?)

いずれにせよこれで晴れて無罪放免である。

臨床をしながらの大学院はかなり大変だったようだし、

また4年目で論文が通るのはけっこう早いほうらしいのだが、それでも苦労して論文を書いていたのを知っている。

努力が報われてほんとうにうれしく思う。


「それでさ、いつ結婚するわけ?」と聞くと、

「するよ、来年には。9月に沖縄に挨拶に行ってくる」と弟。

これがうれしい話のふたつめ。


沖縄は彼女がいま住み、かつふるさとでもあるところだ。

彼女は仕事どうするの?別居婚なの?と聞くと、

いろいろ悩んだ結果、彼女が沖縄の医局を辞めることで決着したそうだ。

彼女にしたって苦渋の選択だっただろう。

「死ぬのは沖縄がいいって言ってたけど、それまでは長野にいるよ」と弟。


しかしなにしろ長野の両親から「とうぶん結婚しないらしい」「結婚したとしても長野を出て行ってしまうらしい」「どうやら彼女とうまくいっていないらしい」と半泣き状態で聞いていたので、

このずいぶんと違う話に、ほうっとするやら弟と彼女さんが乗り越えたであろう葛藤を思いやったり、あるいはまた両親の早トチリなのかもな~と思ったり。


だいたい長野の両親は「子どもたちは好きなように好きな場所で生きてほしい」「長野なんて小さいところでかたまってほしくない、世界に向けてはばたいて欲しい」といいつづけていたのに

年齢を重ねたせいか「誰かひとりくらいは長野にいてほしい」とすっかりと宗旨替えをし、しかも「医者の息子がそばにいたら安心」とまでここ数年はいうようになっているのだ。

気持ちはわかるけど、それを弟のまえではいわないほうが・・・と進言すると、

「ナオも親になればわかる」という伝家の宝刀である。


そんな両親ならばこそ、弟の今日の話を聞いたらきっと泣いて喜んだに違いない。


そこで弟に

「論文が通ったことと、挨拶に行くことは親に連絡したの?」と聞くと

「そういえば忘れてた」とのたまう。

論文が通ったのは1週間も前だという。

まったく息子ってヤツは。



サッカーがないので早めに就寝。

昨日一昨日とサッカーがないので、淋しいようなたくさん眠れてうれしいような。

大会日程もあと少しで終了だ。



朝ごはん。

夫はざるうどん、キムチ各種、ナムルの残り。

私はチーズトースト。


昼ごはん。

「とん太」でヒレカツ定食。


晩ごはん。

手羽焼き、しらすおろし、チョレギとトマトのサラダ、人参とえのきだけと若布の味噌汁、牛筋の煮込み。

手羽焼きは、酒でもんだ手羽先に塩胡椒をして、フライパンでカリっと焼くだけの簡単なものだが、シンプルでおいしい。夫も喜んで食べ過ぎていた。