出張。


午前中の電車に乗り、午後に到着。

数時間打合せをし、夕方に東京に戻る。

今日の打ち合わせも順調だ。

思っていたよりもかなりたくさんの仕事量の受注となったわけだが、なんとかなるだろう。

夫に電話すると、とても安心した様子。よかった。


ちょっと疲れが出たので事務所に寄らず、そのまま帰宅。

途中、スーパーマーケットでみかんのようなものを買う。

マンダリンなんとかというみかんの種類で、愛媛県産のものらしい。

夫は果物が大好きなのだが、

一緒にスーパーマーケットに行って買い物をすると、どれもこれも「高い」といって、果物を買うのを遠慮する。

いいよそれくらいといくらいっても遠慮する。
だから果物はいつもひとりで買う。夫のための果物。

一昨日は林檎、今日はみかん。そんなふうに。


昨日の話。

友だちとの食事は西荻窪の「たべごと屋 のらぼう」へ。

「のらぼう」はたぶん4回目か5回目の食事。

気のせいかもしれないが、ちょっとばかり雑、になったような気がする。接客も料理も。

味が悪くなったわけでもないし、不快な思いをしたわけでもない。

よくいえば肩のちからが抜けたのかもしれない。どうだろう。

いずれにせよほんの少しの変化だ。

それを嫌だなとおもうひとと、いいなとおもうひとと、変化に気づかないひと、そのいずれもいるだろう。それくらいのちいさな変化でもあるのだが、変化は変化だ。

この店も次のフェーズに入っていくのかもしれない。


次のフェーズ。


西荻窪は学生のころによく行っていた街だ。

当時、私は上石神井という西武新宿線沿線に住んでいて、西荻窪には学生時代の恋人が住んでいた。

上石神井と西荻窪は直通のバスでも自転車でも15分くらいの距離にあって、

いったい何度、往復したことだろう。

同じ大学で同じサークルの仲間だった彼は私の大学時代の殆どすべてだ。大袈裟ではなく。

でもそれももう、15年も前のことだ。

そしてそのひともいまは亡い。


少し早く着いたので、街を散策する。

西荻窪に行くときはいつもそうだ。

少しだけ早く、到着してしまう。待ち合わせよりも早く。


学生のころから西荻窪は好きな街だった。

静かで落ち着いた街並み、一本だけつづくバス通り、にぎやかな商店街、素敵な喫茶店。

そのころは「のらぼう」はなかったし、あったとしても学生の身分では行けなかっただろう。

西荻の印象には、恋人が住む街、ということも加算されていたようにも思うが

もう住んでいないと知っていても、やはり西荻窪はとても好きな街だ。

いつか住んでもいいとずうっと思い続けている。住めたらいいなとも思う。

そのときは今度は夫が一緒なのだ。そんなことを思いながら街を歩く。


すこしの散歩を終え駅に着くと、

友だちはもう来ていた。

ふだんは現地で待ち合わせるのだけれども、「のらぼう」は分かりにくいので駅で待ち合わせて行く。


道すがら「大変だったね」と友だち。

仕事仲間の死を悼んでくれる友だちの、

その優しい気持ちや気遣いを強く感じる。ありがとう。


「のらぼう」では、友だちの新たなる門出を祝して乾杯。

いろいろな話をする。

仕事のことも、それ以外も。

これからまさに次のフェーズに入る彼女。応援している。こころから。

きっと成功することもわかっている。

それだけの力もあるしどれだけ力があってもまだまだと努力をするひとだから。


彼女はものすごく仕事ができるし、情も懐も深い。

たとえば自分が元気ではないときに

存在するだけで、顔を見るだけで、話をするだけで元気をもらえる、前を向こうという気持ちになれる、

たまにそういうひとがいると思うのだが、

彼女は間違いなくそういうタイプのひとだ。

故に彼女のまわりにはいろいろなひとが集まってくる。

私も苦しいときかなしいとき、彼女にずいぶんと助けられた。


でも。

一般論として。そういうひとは

自分が「本当に」苦しいときかなしいときひとりでいたくないとき、どうしているのだろう?


そんなことをふと思う。


私は彼女の友だちでありつづけたいと思っているから

もしも彼女が、彼女のようなひとが、「本当に」という状況にいつかなることがあるとしたら。

たぶんそういうひとたちは、

自分から「ハイハイハイ!聞いて聞いて!いま苦しいですつらいです泣きたいです」って私のように大きく手をあげて自己主張なんか絶対にしないし、

本当に起きたことの、受けたことの、100分の1くらいのことしかいわないだろう。

だからこそ私はきちんと耳を澄ませていたいと思う。いつだって。


友だちにオモニが水揚げをしヤンニンをつくり、私がかき混ぜて葉っぱにヤンニンを塗った(だけの)キムチを持っていっておすそ分け。

今朝とどいたメールに、「白菜がしゃきしゃきしていておいしい」と書いてあった。

よかった。

確かにオモニのキムチは白菜がしゃきしゃきだ。

いつか私もあのキムチを完全再現したいと思っている。

まずは、と、先日ホームセンターで、漬物石と漬物樽を買ってきた。

オモニとつくったキムチが終わったら、今度は自分で漬けてみよう。

きっと何度も失敗するだろう。でもつくってみないことには一度の成功もあり得ない。


私が生まれ育った長野の田舎では、

「野沢菜を漬けられないと嫁にいけない」といわれていた。

そんな田舎の子ども時代、自分がキムチを漬けるようになるとは思わなかった。

人生っておもしろいよね。


朝ごはん。

夫はカレーののこりと、牛筋のだし汁でつくった野菜スープ、牛筋の煮込み。

私はヨーグルト。


昼ごはん。

なし。


晩ごはん。

夫は大学院のためそとごはん。

私は牛筋の煮込みと野菜スープ。