引き続き風邪。
本当に治りが悪くて嫌になる。
午前中、桂から荷物が届く。
大きなダンボール箱のほうは夫の礼服や靴、私の靴や結婚式でいただいた引出物など。
小さなダンボールはオモニや姉と一緒に作った料理。
ペチュキムチ、烏賊明太子キムチ、焼肉のたれ等々、山盛りに入っている。
アボジがとってきてくれたタンポポの和え物や、ハンメ(祖母)が山でとってくれた山蕗の煮物なども入っている。
おまけに東京でもキムチや烏賊明太子キムチが作れるようにと、
唐辛子(粗挽きと細挽き2種類)や烏賊の冷凍なども、これでもかというくらい詰め込まれている。ありがたい。
しばらく篭城できそうなくらいに冷蔵庫も冷凍庫もぱんぱんになった。
京都に帰省していると、みんながすごくかわいがってくれていることを感じて
とてもうれしくなる。
嫁っていいなあ!この家の嫁になってよかったなあ!と思う。
それはもちろんお互いに多かれ少なかれ気を遣うところもあるだろうし、
ハンメに「あんたんとこは子どもはできたかい」なんていわれると、いやーほんとスミマセン、って感じなのだが、
嫌だなとか辛いなとかかなしいなとかいうようなことを思ったことは、一度もない。ただの一度もだ。
これは嫁として、とても幸せなことなのではあるまいか。
福知山の結婚式で、夫の従妹のユリちゃんと話をした。
ユリちゃんと会うのは3度目。
23歳で、保母さんで、お人形さんのようにかわいくて、ふんわりとしていて、性格もすこぶるいい子だ。
ユリはいい子だ、というのは夫も京都のみんなもいっている。
そのユリちゃん、正月に京都に帰省したときに「今度相談にのってほしい」といわれていた。
もしかして?と思ったら、案の定、ユリちゃんの恋人は日本人で、
結婚したいのだけれども、恋人のおばあさんから「在日韓国人との結婚は許さない」と反対されているという。
それはユリちゃんと会ったことがないからだよ、
ユリちゃんと会って、ひとがらがわかれば、反対するひとなんていないよ?という私に、
ユリちゃんはお人形さんみたいな大きな目にいっぱい涙をためながらも、
「会ったことはあるんです、私が在日だっていうまでは、すごくかわいがってもらってて・・・」とそれでも頑張って微笑みながらいうのだ。
私はすぐに返す言葉が見つからない。
なんでも、恋人の実家には数回遊びに行っていて、恋人のご両親、おじいさんは、ユリが在日だとわかっても
「ユリちゃんがお嫁にきてくれたら嬉しい」といってくれているという。
そんななかでおばあさんだけがどうしても反対。でも「みんなに祝福してほしいから」とユリちゃんはいう。
「だからナオさんが羨ましいです。結婚式にもみんな来てくれて、誰も反対してなくて、みんなが仲良くしてくれる。いいなあって。私は帰化しててもう日本人なのに、それでも結婚はダメだって」
とユリちゃん。
確かに私の家族は夫が在日韓国人だろうと何人だろうとそんなことはどうでもいい、というひとたちだ。
親戚は多少はなにかを思っていた人もいたと思うのだけれども、結婚式で夫や夫の親族のひとがらに触れたら、みな「ナオちゃんは幸せだね」と言ってくれている。
ただ夫はいつも「俺たちのようなケースは稀」という。
夫のまわりでは何組も、いずれかの親族の反対にあったりして結婚に至らなかったケースや、結婚後に親族どうしがもめたりして離婚に至ったというケースも多々あるそうだ。
そもそも夫の、特に父親は最初は「日本人を連れてきたら殺す」といっていたくらいの反日だったし、たまたま数年前にキリスト教の洗礼を受けてから「人類みな家族」になったわけだから、もしも反日のままだったら私だって結婚できていない可能性は高いだろう。
先日結婚した従弟も、いまの奥さんとお付き合いする前はずっと在日朝鮮人の女性と付き合っていたそうだ。
従弟は韓国人なので、これまた国籍が違う。朝鮮と韓国の結婚、というのは、在日同士でも結構複雑な問題だそうで、結局、お別れになったと聞いた。
今回、幸せな結婚をしたのは本当によかったのだが、
いろいろあるのだなあと実感する。
ユリちゃんは「まあもしずっと反対されるなら仕方ないから、違う彼氏見つけようかなと思ってます」と笑いながらいう。でも目は全然笑っていない。
ああ心から。
ユリが幸せになってくれたらいい。そう思う。
午後、仕事へ。
事務所で打合せをし、帰宅。
大量のキムチや食材のいくつかを長野にお裾分けするために荷造り。
最近こんなのばっかりだ。
桂の家と、福知山のハンメ、福知山の夫の生家(いまは夫の叔父一家が住む)にそれぞれお礼状を書く。
朝ごはん。
夫はご飯と味噌汁。
私はヨーグルトとバウムクーヘン。
昼ごはん。
事務所近くのお弁当屋さんでおにぎりを買う。
晩ごはん。
ペチュキムチ、烏賊明太子キムチ、たんぽぽの和え物、ゆず大根、鮭の塩焼き、鰤の塩焼き、いわしの丸干しをそれぞれ少しずつ、もやしの味噌汁。