大阪へ。

日曜日の新幹線は空いている。
平日に出張で利用するか、年末年始やお盆などに利用するか、だったので
東海道新幹線というのは何時なんどきでも混雑しているのかと思い込んでいた。

今日の通夜は19時からだが、明日の告別式もあるので、宿を取った。
先にチェックインをする。

葬儀は大阪狭山市の金剛という場所でとりおこなわれる。
Nさんのご実家がある場所。
難波から南海に乗る。
南海鉄道も高野山線もはじめだ。


金剛、という場所を地図で見ていたら、帝塚山学院があることに気がついた。
帝塚山学院は、好きな作家で、またつい昨日あたりまで著作を読んでいた庄野潤三さんの祖父が創設した学校。庄野さんにとっても縁の地。
偶然に驚く。

それにしても。
若いひとの葬儀は
なんてかなしいものなのだろう。
なんてかなしい。

気丈にふるまうお父様も。
嗚咽を堪えきれないお母様も。
気配りを欠かさない弟さんも。

家族の席に、Nさん自慢の恋人も座っていた。

ずうっと涙を見せないで、、
でも泣きはらした顔をして
背筋をぴんと伸ばしていた。

なんてかなしい光景。

Nさんのおばあ様がそんな恋人に近づいて声をかけると、
Nさんの恋人は声を上げて泣いた。

そのすべてがいたましくかなしい。

「親というものは、自分と引き換えにしても子どもに生きていて欲しいと思うものなんだよ」
と昨日電話で話した母は言っていた。

子どものころ母から、自ら命を絶ったり、親よりも先に死ぬと地獄に落ちるんだよ、と教わった。
おばあちゃんから習ったんだけどね、といって。

地獄があるのか落ちるのか、
それはわからない。
だけれども。
こんなふうに親を悲しませるんだということを知ると
その教えは強ち間違いではないのだと思う。

親不孝の友だちは
Nさんで4人目。悔しい。


難波に戻る電車のなかで夫が言った。

俺たちは100歳まで生きよう。

そうしよう。
私もそう思う。